最近、ちょっと悩んでいる。

 北村淳氏がJBpressに執筆したコラム「被災地で自衛隊がアメリカ海兵隊に後れを取った理由 美談だけで済ませてはいけない『震災と自衛隊』」を読んで、少し前の拙稿「『陸自の海兵隊化』が不可能な理由  米海兵隊に頼り切りの状態を脱するには」と比べると、同じように自衛隊と海兵隊について書いていても、私のものはずいぶんトーンが弱いなと感じたからだ。

 あらかじめ申し上げておくと、北村氏も私も立場上は「国益重視派」と、あえて勝手に位置づけてしまうが、決して対立意見を述べているわけではない。

 少しでも世の中に現実を知ってもらい、少しでも良い方向に動けば・・・という共通の思いで日々活動しているのだが、そんなことが容易にできるわけがなく、特に米国にいる北村氏は、はがゆい思いをしているのであろうことが、文面から読み取れる。

自衛隊は右を向いても左を向いても真っ暗闇の状況

 さて、拙稿では、防衛力について「色々なオプションを薄くとも残す方策が肝要」だと記したが、そういう書き方は確かに強烈なインパクトはなく、どうもあまりウケが良くないようである。

 講演などをすると「もっと突っ込んだ話が聴けるかと思った」などと言われることもある。何をもって「突っ込んだ話」というのかは分からないが、「核武装すべきだ・・・」「自主防衛すべし・・・」などと叫んでいるだけで講演料をもらえれば、さぞかしラクだろうとつくづく思う。

 しかし、そんなことをすれば、ますます国防の現実が知られなくなり、ただでさえ情報が伝えられていない国民にとって、何ひとついいことはないのだ。

 ゆえに、とにかく「つまらない」と言われようがなんだろうが、自衛隊を巡る実際の状況を多くの人々に知ってもらうことこそ大事と思い、「自衛隊はあらゆる事態に対処しなければならない」「そのための人員が不足している」と言い続けているのである。北村氏の述べている併用戦力もその1つだと思っている。