安全保障

被災地で自衛隊がアメリカ海兵隊に後れを取った理由美談だけで済ませてはいけない「震災と自衛隊」

2012.03.15(木)  北村 淳

「自衛隊との連携は概ね大成功であり、今後発動されるであろうアジア太平洋地域における人道支援・災害救助(HA/DR活動)における日米共同作戦が順調に実施できることを確信している(注:HA=Humanitarian Assistance、DR=Disaster Relief)。

 自衛隊は大活躍したと思う。とりわけ、震災津波被災地への10万名の緊急動員に対処した折木統幕長のリーダーシップは極めて優れていた。

 また原発事故対処でも、聞くところによると初期対応に逡巡していた政府を説得して果敢にヘリコプターを出動させた決断は見事で、彼こそナショナルヒーローとして高く評価されたのだろう?」

 東日本大震災救援のために自衛隊と実施した共同作戦であるトモダチ作戦に指揮下の第31海兵遠征隊をはじめとする諸部隊を投入したアメリカ海兵隊太平洋海兵隊司令官ティーセン(Thiessen)中将は、このようにトモダチ作戦を振り返って筆者に語った。

 自衛隊とは何の関係もない一個人との私的会話である以上、中将の言葉は「外交辞令」などではなく、強大な太平洋海兵隊を指揮する軍人の率直な感想と考えて差し支えない。

 このような評価をアメリカ海兵隊最高首脳の1人が口にしているからには、国防総省はもとより国務省やホワイトハウスの高官たちも日本側の「しかるべき人々」に対して同様の評価を口にしているはずである。

 そのような賛辞を受けた日本側は「アメリカ軍も自衛隊の活動を高く評価している」と自衛隊の活躍を再評価することになるのであろうが、災害救援活動それ自体に対する評価と、その後の対応に対する評価とは無関係であることまでは、おそらく誰も口にしないであろう。

 つまり、作戦実施後に教訓を引き出し、それらをもとに将来への備えを開始する過程まで含めて、作戦の評価をしなければならないという軍事常識に従うならば、「東日本大震災に対する救援活動は概ね成功であった」と満足できるのであろうか?

 果たして、教訓を真摯に引き出したのであろうか? 教訓を生かすべき施策が具体的に始動しているのであろうか?

米国の真の軍人が抱く疑問、自衛隊は軍事的教訓を得たのか

 上記のティーセン将軍の評価と似通った感想を、実際にトモダチ作戦に参加し指揮を執った海兵隊や海軍の将校たちは口にする。しかし、そのような賛辞と平行して、救援活動から得るべき教訓や教訓に対する対処状況に関する疑問なども指摘している。

 そしてイラクやアフガニスタンでの戦闘を体験している…
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