米グーグルが各種サービスで集める個人情報の取り扱い方針を巡って波紋が広がっているようだ。
フランスのデータ保護に関する監督機関「CNIL」は2月27日、グーグルがまもなく導入するプライバシーの新方針は「欧州連合(EU)のデータ保護指令の条件を満たしていない」とする暫定判断を示した。
まもなく導入予定の新方針に延期要請
グーグルは今年1月、同社の主要なサービスでこれまで個別に扱ってきた個人情報収集方針を統合すると発表した。
これによって、同社は各サービスから集めるユーザーデータを、単一ユーザーのものとして扱えるようになり、ユーザーにとって利便性の高いサービスを提供できると主張。例えばユーザーが「ジャガー」と検索した場合、それがユーザーにとって動物を意味しているのか、あるいは自動車なのかを判断し、最適な検索結果や関連性の高い広告を掲載したりするというのが狙いだ。
しかしこれに対しプライバシーを懸念する声が広がった。欧州連合の作業部会から新方針に関する追加情報の提出を求められるなど、規制当局が同社の動向を注視している。
CNILは、グーグルが各サービスの情報収集方針を統合することについて、具体的にどのデータがどのように統合されるのかが明らかになっておらず、不安が募ると指摘。グーグルに対し、3月半ばまでに質問状を送ることを告知すると同時に、3月1日に予定している新方針の導入を延期するよう要請した。
こうしてグーグルの情報収集方針に関心が寄せられるのは、同社には検索サービスをはじめ、電子メールの「Gメール」や、スケジュール管理「カレンダー」、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」など、個人データに密接に関わる様々なサービスがあるからだ。
とりわけ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「グーグル+(プラス)」は同社が長期戦略と位置付け、力を入れている分野。まもなくユーザー数が1億人に達すると見込まれていることから当局は目を光らしている。
極端に少ない、グーグル+のユーザー滞在時間
ただ、このグーグル+については少し意外な調査結果も公表されており、EUやフランス当局が懸念するような問題はないのでは、という指摘もある。というのも、グーグル+は広告収入の目安とされるユーザーの滞在時間が、ほかのSNSに比べて極端に少ないというのだ。