2011年12月13日までにサムスングループの役員人事が発表になった。好調な業績を受けて大規模な昇格人事となった。年1回の大型役員人事からサムスングループの戦略がどう読み取れるのか。役員人事の特徴を分析してみた。

 サムスングループには、「役員」が1800人前後いる。ほとんどが、日本で言う執行役員だ。グループで、「会長」の肩書きを持つのは李健熙(イ・ゴンヒ=69)氏だけ。同氏の正式な肩書きはサムスン電子会長だが、実質的にはグループ会長だ。この会長を頂点としたグループ全体の役員人事が毎年、年末か年始に発表になる。

サムスンの猛烈ぶりの原動力

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圧倒的な収益力を誇る強大なサムスングループ。役員人事のスケールも半端ではない〔AFPBB News

 最近は、「随時人事」と呼んで、年末年始でなくとも業績不振企業の社長を更迭する人事もあるが、これはまだ例外だ。

 オーナー経営で会長が君臨しているため、副会長や社長は何人もいる。グループ内で役員が異動することも多く、そういう意味では、典型的なオーナー財閥人事でもある。

 副会長と社長のいわゆる「社長団人事」は例年並みの規模で、実績重視の手堅い人事だった。副会長昇格2人、社長昇格6人だったが、いずれも突出した実績を上げた専門経営者たちだ。

 サムスングループには、会長、副会長、社長で構成する「社長団」という呼び方がある。毎週1回定例会議も開いているが、平均年齢は55.8歳で昨年の人事時点の56.3歳に比べさらに若返った。

 常務から副社長までの平均年齢は、2010年の50. 2歳から、49.4歳になった。ついに40代になったわけで、「キープヤング」は巨大グループになった今も、生きている重要キーワードだ。40代の役員がごろごろいて、早朝・深夜勤務や強行スケジュールでの海外出張など日常茶飯事。これがサムスンの猛烈ぶりの原動力だ。

 社内競争も激しく、若い発想でどんどん意思決定して行動することが出世の条件で、日本企業との「意思決定のスピード格差」も「若さ」が最大の秘密だ。

 だが、逆に言えば、役員選抜の時期もどんどん早くなっており、大器晩成型には厳しい。

2トップ体制になったサムスン電子

 社長級以上のトップ人事で話題になったのが、グループ主力企業であるサムスン電子が「2トップ体制」になったことだ。

 これまでは、崔志成(チェ・チソン)副会長(60)がCEO(最高経営責任者)として全事業の総責任者だった。しかし、半導体と液晶パネル部門などを統括する権五鉉(クォン・オヒョン)氏が社長(59)から副会長に昇格した。

 今後、崔志成副会長がテレビや携帯電話機、家電など完成品事業部門の総責任者、権五鉉副会長が部品事業部門の総責任者として、2人で経営責任を分担することになった。2トップになるとはいえ、崔志成副会長が事実上の格下げになるわけではない。同副会長は、サムスン電子を代表するCEOとしてこれまで以上に対外的活動にも積極的に乗り出すとの見方が有力だ。