ツイッターの創始者「ネット検閲は技術革新に追い抜かれる」

米ツィッターの共同設立者で、最高経営責任者(CEO)のエバン・ウィリアムズ氏〔AFPBB News

 米ツイッター(Twitter)の共同設立者、ジャック・ドーシー氏が、同社ミニブログサービスの中国版に取り組んでいると述べ、ちょっとした話題になっている。

 ニューヨークで8日に開催されたソーシャルメディア関連のパネルディスカッションの中で、人権活動家で現代美術家のアイ・ウェイウェイ氏の質問に答えたものだ。

 ドーシー氏は「中国内のユーザーが中国語でツイッターを利用できるようにすべく、我々は真剣に取り組んでいる」と述べた。

 これに対し、ウェイウェイ氏が「本当に可能なのか? イエスかノーで答えてほしい」と迫ると、ドーシー氏は「単に時間の問題だ」と言い、スタッフの数に制限があることや、技術的制約という課題があることを告げた。

 しかしウェイウェイ氏が聞きたかったのは、技術的なことよりも政治的なことだった。

ユーチューブやフェイスブックも遮断

 中国には、国外へのインターネットのアクセスが制限される、いわゆる「万里のファイアウォール」がある。米ロサンゼルス・タイムズの記事によれば、ツイッターのほか、米グーグル傘下の動画サイト「ユーチューブ(YouTube)」や米国で人気のソーシャル・ネットワーキング・サービス「フェイスブック(Facebook)」などが遮断の対象になっている。

 これらのサービスで中国政府への非難が高まると、政府による検閲が行われ、サイトの遮断が始まるという。それは一時的であったり継続的であったりと様々だが、政府によるこうした行為は度々繰り返されている。

 アイ・ウェイウェイ氏は、北京五輪の会場になった国家スタジアム「鳥の巣」の美術顧問を務めた人物。中国の人権問題に熱心で、米ニューヨーク・タイムズの記事によると、昨年、四川大地震の死者数を記録していた同氏のブログが当局により突然閉鎖されたという。

 また、グーグルが「ジーメール(Gmail)」の人権活動家のアカウントが侵入されたと主張しており、今回の撤退問題のきっかけの1つにもなっているが、その中には同氏も含まれているという。こうした経緯から同氏はツイッターの中国版を切に希望している、と記事は伝えている。