米中2つのエンジンの順調な回復を背景に、2009年の年中央以降堅調を続けていた世界の主要株式市場は、2010年の1月下旬に突然乱気流に突入した。

オバマ大統領、金融機関の新規制案を発表

金融機関の新規制案を発表するオバマ大統領〔AFPBB News

 そのきっかけとなったのは、1月21日にオバマ大統領が突然発表した金融規制強化の提案(ボルカー・プラン)だった。その後、ギリシャの債務問題が他国へ波及したことで調整幅が拡大し、それと前後して、中国、インド、ブラジルが預金準備率を引き上げたことも、市場に若干の警戒感をもたらすこととなった。

 これらの事象が意味するところは何であろうか。

 ひとことで言えば、「経済回復」から「出口戦略」に市場のテーマがシフトしたことに伴う気流変化である。幸い、事象の本質への理解が進むに連れて市場は落ち着きを取り戻し、ひと月あまりの調整で抜け出しそうな気配だ。

 ただ、乱気流を抜けた先でグローバル市場を待ち受ける環境は、2009年とは大きく異なるものになると考えておいた方がいいだろう。

2009年とは異なる3つの条件

米住宅市場の底打ちは09年末以降、専門家

サブプライムローン問題の引き金となった米国住宅価格も、ようやく、底打ちの兆しが出てきた〔AFPBB News

 世界経済については、6カ月前とはまったく異なる状況である点は誰もが認めるところだ。

 大規模な政策対応に支えられているとはいえ、貯蓄率上昇にもかかわらず家計部門の消費は堅調であり、米国・中国の企業景況感(ISM、PMI)は大幅に改善した。クレジット商品価格と株価は上昇、金融セクターの資本は増強され収益性も回復、非金融セクターの利益や設備投資も回復に向かいつつある。新興国は高成長軌道に戻り(中国・インド他)、米国や英国の住宅価格は底打ちの兆しが見えている。

 国際通貨基金(IMF)の見通しでは、2010年の世界経済は3.9%成長が見込まれる。しかし、グローバル投資環境が2009年とは異なる点を3点指摘しておきたい。