先日、ある地域でご当地グルメの商品化に向けての会議を行いました。その席上で議論となったのが、複数の企業が集まって商品を開発していく際に、共通のレシピを作るべきか否かということでした。

 つまり、(1)共通レシピでの開発、(2)各社の創作による開発、のどちらを目指した方がいいか、というものです。

製法や提供方法を統一するのは骨が折れる作業

 例えば地元の野菜を使って「カレー」を作ることになったとしましょう。

 (1)の方法では、材料や作り方に共通のルールを作り、それに基づいて各社が同じ「カレー」を作ることになります。もちろん、レシピが共通でも、作り手の技量や味覚、センスが異なれば、出来上がるカレーの味は微妙に異なります。でも、基本的な味やコンセプトは同じになります。

 (2)は、商品を作る際のルール(定義)は定めず、各社が独自にカレーを創作するという方式です。例えばAという店ではビーフカレー、Bはシーフードカレーというように、様々なカレーがたくさんできてくることになります。

 この2つの手法は全く違った手法ですが、それぞれ一長一短があります。

 (1)の方法のメリットとしては、出来上がったカレーのコンセプトが明確になるため、その地域の名産品として売り出しやすくなります。「△△のカレーってどんなカレーなの?」という消費者の素直な疑問に対して、分かりやすく答えることができるので、メニューの普及と定着がしやすくなります。

 ただし、製法や提供方法などについてのルールを作る段階で、侃々諤々の議論が必要となります。例えば「カレー」の中心的な具材は何にするのか、色や辛さをどうやって共通化するのか。作り方の何を定義するのか、などです。そのため、初期の段階で多くの議論や時間を要することになるというのがデメリットです。