ネット小売大手の米アマゾン・ドットコムが25日に発表した7~9月期の決算に投資家が驚いているようだ。

3四半期連続で減益に

アマゾン7~9月期、大幅減益で株価急落

25日に発表された大幅な減益決算を受け、アマゾンの株価は時間外取引で急落した〔AFPBB News

 同四半期の売上高は1年前から44%増と好調だったものの、純利益は6300万ドルとなり前年の2億3100万ドルから73%減と大幅減。アマゾンの純利益は4~6月期に前年比8%減、1~3月期に33%減少しており、これで3四半期連続の減益となった。

 利益を押し下げているのは、同社が積極的に続けている投資だ。

 7~9月期は物流設備、マーケティング、技術基盤やコンテンツにかかる費用がいずれも膨らんでおり、これらを含めた営業経費は前年比48%増の107億9700万ドル。これに伴って営業利益は7900万ドルと同71%減少した。営業利益率は0.7%となり、前期の2.0%、前年同期の3.5%から大きく低下している。

 とりわけ、物流設備、技術基盤およびコンテンツにかかる費用がかさんでおり、これらの1年前に比べた増加率は65%と74%。米ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年末時点で52カ所だったアマゾンの物流センターは今年中に69カ所に増える予定だという。

 またアマゾンはネットで配信するデジタルコンテンツの分野に力を入れており、その技術基盤となるデータセンターを強化している。

 これに先立ちアマゾンは、電子書籍の定期購読サービスで出版社と協議中と伝えられた。また映画やテレビ番組のネット配信に関して大手映画スタジオやテレビ局との間でコンテンツ供給契約を拡大している。タブレット端末向けに電子商取引サイトのデザイン刷新を図ったり、公立図書館の蔵書の電子配信も始めたりしている。

コンテンツ戦略のカギを握るキンドルシリーズ

 こうした施策は、同社が9月28日に発表した電子書籍端末「キンドル(Kindle)」の新モデルやタブレット端末「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」の展開と密接に関連している。

 最新のキンドルの価格は79ドル。タッチスクリーンを採用した上位モデル「キンドル・タッチ(Kindle Touch)」も99ドルからと安価だ。また満を持して発表したマルチタッチカラーディスプレイ搭載のキンドル・ファイアは199ドルで、米アップル製「アイパッド(iPad)」の廉価モデル(499ドル)の半値以下だ。