東証、大発会で新システム「アローヘッド」稼働 1件処理に0.005秒

年明けの東京株式市場も上々の滑り出し(2010年1月4日の大発会)〔AFPBB News

 2010年の主要国株式市場は、2009年末の地合いを引き継いで堅調な幕開けとなった。その背景にあるのは、09夏場以降に米国景気が予想以上に早い持ち直しを見せたこと。そして、もう1つは、世界に先駆けて力強い回復軌道に復帰した中国景気に依然翳りが見えないことがある。

 景気対策の効果とはいえ米中2つのエンジンが稼働していることが、2010年の世界経済の展望を明るいものとしている。国際通貨基金(IMF)は、2010年世界経済成長率見通しを7月時点の2.5%から10月に3.1%に上方修正したが、さらなる上方修正も期待できる環境だ。

経済危機のギリシャ、緊急財政再建計画を発表 EUに提出へ

緊急経済対策を発表するギリシャのパパサナシウ経済・財務相(2010年1月14日)〔AFPBB News

 一方、世界市場で新たな動きも見え始めている。2009年10~11月はドルキャリートレードの活発化によりドル安が進む一方で、株式、資源価格、新興国通貨が揃って上昇した。しかし、12月にドバイ・ショックの余波やギリシャ格下げの影響でユーロが下落を始めると、豪ドルや新興国通貨をも巻き込んでドルは反発に転じた。

 ドルの一方的な減価が止まったことは朗報だ。しかし、ドバイとギリシャの事例は、金融危機後の急激な経済収縮が、政府債務残高や対外債務比率の高い国々に深刻な後遺症をもたらしていることを、改めて世界に印象付けることとなった。

徐々に列が長くなるマラソンレース

サハラマラソンが開幕

世界金融危機からの回復に向けて、一斉にスタートしたマラソンレースの列はバラけ初めている〔AFPBB News

 金融危機からの回復状況をマラソンレースに例えると、先頭集団を形成するのは中国、インドを中心とするアジア勢力。第2集団はブラジル、カナダ、オーストラリアなど。続く第3集団は日・米・英などで構成していたが、この中から米国が抜け出し、第2集団に追い付こうとしている。ユーロ各国は、さらに遅れる第4集団、その後に、ロシアや一部東欧諸国が続く。

 世界経済は、一斉に谷底からスタートしたランナーたちの列が徐々に長くなってきている。つまり、回復局面での国別ばらつきが顕著になってきた状況である。その中で2010年は、各国が「非常事態に対応した金融・経済対策をいかに正常化させていくか」、という課題に取り組むことになる。ここで、第2集団をうかがう米国と、第4集団でくすぶる欧州との対比をしてみたい。