9月24日、ロシア政権与党「統一ロシア」の党大会がモスクワ市内ルジニキ・スタジアムで開催され、来年3月の大統領選挙にはウラジーミル・プーチン首相が与党候補として立候補することが承認された。

立場が入れ替わるプーチン、メドベージェフ両首脳

バス停に張られた地元中堅銀行の個人向けローン広告 「簡単手続き、10%以下」とあるが、この広告ではつい裏を探りたくなる・・・

 統一ロシアは下院議席の7割を占める盤石の基盤を有しており、来春にプーチン首相が大統領に再選されることはほぼ確実である。加えて、プーチン首相は次期首相にドミトリー・メドベージェフ大統領を早々と指名した。

 つまり、タンデムの前後が入れ替わっただけのことである。これによって、後味の悪さが残るとはいえ、これまでロシア社会を覆っていた不透明感の1つの要因が晴れたことは間違いない。

 もっとも、ロシアもこの夏場以降、世界同時不況の危機に直面しておりタンデム交代で一息ついている間はない。国内金融市場は大荒れの展開となっており、新タンデムの前途多難を予感させる。

 ところで、こうしたハイレベルの政治経済動向はさておき、モスクワの庶民の生活はどのように変化しているのだろうか? 

 秋の週末のモスクワの町を歩いてみた。

突然増え始めた「クレジット」の看板

 一言で言えば、大きな変化は感じられない。大きなスーパーマーケットは相変わらず大勢の買い物客でごった返しているし、他方、高級デパート・ブティックはこれまた相変わらず閑古鳥が鳴いている。

 マクドナルドや日本食チェーンレストランは若者で賑わっていると思えば、かつては予約なしでは入れなかったおしゃれなレストランは週末の夜でも空席が目立つ。

 市内の道路の交通渋滞は相変わらず改善の兆しはないし、市内中心部の建設工事はリーマン・ショック後にほとんどが再開されているものの加速するほどの勢いは感じられない。

 こうしたなか、筆者が変化を感じたことが1つある。それは街中に溢れる「クレジット」の文字、つまり個人向け融資の広告が急速に増えていることである。