「学生フォーミュラ大会」というイベントをご存じだろうか。
大学、短大、高専の学生たちが、規定に沿った小型のレーシングマシンを考え、基礎開発から始めて設計し、素材から加工までを手配して、できるかぎり自分たちの手で造り上げる。
そうやって出来上がったマシンの設計やコスト管理の内容を審査し、そしてもちろん走らせて、その能力を試す。それらの結果を総合して順位を決める、という「ものづくり」コンペティションである。
元々は米国の「SAE」(Society of Automotive Engineers:自動車技術会)が始めた「Formula SAE」というプロジェクト兼イベントの日本版。米国では、1981年にスタートしている。ちなみにSAEは、自動車だけでなく航空機なども含めた技術領域について、国際的な学術団体としての活動、情報の収集と出版、さらには技術規格の制定などまで、日本の同種組織よりも格段に広範な活動を行なってきている。そのFormula SAE、米国では、1981年にスタートしている。
「教室の中だけでは優秀なエンジニアが育たないことにいち早く気づいた米国は、1981年(4輪自動車生産で日本が米国を追い抜き世界一になった翌年)から『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』として Formula SAE(SAE International 主催)を開催しました。」(自動車技術会・全日本 学生フォーミュラ大会 ホームページより)
設計、コスト、プレゼンから走行性能までを審査
いかにも米国らしいと思うのは、ただ「出来上がったもの」の評価や性能を競うのではなく、ものを生み出すプロセスまでを審査の対象にしていること。
まず「静的審査(Static Events)」として、
・「デザイン」=発想から具体化に至る設計の内容
・「コスト」=実際に年間1000台を造ることを想定した素材~製造のコストプランニング
・「プレゼンテーション」=自分たちの車両の製品化と販売を、企業に対して新たなビジネスとして提案する、という想定の口頭試問
・・・というプログラムが用意されているのである。