イノベーションとは、大きな社会変化と経済成果をもたらす革新であり、その実現には、不定型で不確実性が高く、創造的な能力を必要とする。
イノベーションの実現という仕事は、我々がいまだ十分に知らない自然界や人間界に潜む法則や隠れた経験則を「発見する」、再現可能な形で製品・サービスとして「体現する」、そして顧客を含む様々な社会構成員に製品・サービスの経済的価値や社会的便益・意義を「承認してもらう」という仕事から成り立っている。
「発見」には、自然界に関する自然科学的な深い知識が必要であり、人間界に関する深い洞察が必要である。
「体現」には、部下や上司、そして供給業者といった組織内外の協力が必要である。
そして、「承認」には、潜在的な価値・便益・意義を様々なコミュニケーション(広告宣伝・営業・直接的説得)を通じて、社会構成員に正当性の確立という形で認めてもらうことが必要である。
これら一連の実現過程は、試行錯誤的で紆余曲折を含む、時間のかかるプロセスである。その実現には、長期的な視野や時間軸の下に、簡単には結果が出ないという不確実性に耐えながら、成果の「出口」を見いだす困難を伴う。
「短期的な視野」が「長期的な視野」を駆逐する
しかし、製品寿命が急速に短期化し、環境変化が高速化する厳しい競争環境に直面する我々が、長期的な視野や時間軸の下で仕事を進めることは容易なことではない。「悪貨が良貨を駆逐する」という格言が示唆するように、短期的な視野が長期的な視野を駆逐することがあるからである。
日々の仕事に追われて、本来長期的な視点で腰を据えて取り組むべき仕事が結果として後回しになっている、という経験が、皆さんにも一度はないだろうか。
長期的な視点が重要だと自身に毎日言い聞かせても、あるいは「視野狭窄」の状況に置かれた部下にその点を諭しても無駄である。本人の個人的な心がけは問題であるものの、根本的な問題は個人の問題を超えた組織としての、日々の仕事のやり方やその効率性にあることが多いからである。
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