英ロンドン警視庁は1日、コンピューターの操作妨害などの容疑で、20代の男2人を逮捕したと発表した。
ロンドン警視庁をはじめ欧米の捜査当局は、国際的な企業や情報機関を狙ったネットワーク不正侵入やサイバー攻撃の疑いで「アノニマス(Anonymous)」や「ラルズセック(LulzSec)」といったハッカーグループを捜査しており、今回の2人もそうした捜査の過程で逮捕された。
ただ、ロンドン警視庁がこうした発表を行うのは1度や2度のことではない。6月にはロンドン東部に住む19歳の男を、7月にはアノニマスなどの広報役を務めていたと見られる27歳の男などを逮捕している。
米国でも大規模な捜査が行われており逮捕者は出ているのだが、これらのハッカーグループを一網打尽にするのは難しい。彼らの組織にはそれほどの結束力がないためだ。
アノニマスはネットの掲示板から発生
アノニマスやラルズセックについては謎が多い。だが、訪米のメディアなどが伝えるところによると、グループは緩いつながりで組織され、その構造は非中央集権的だという。
例えば昨年12月頃からメディアで多く取り上げられるようになったアノニマスは、インターネットの掲示板(オンラインフォーラム)から発生したと言われている。当初はサブカルチャーをテーマに交流する場としてハッカーが集まっていたが、やがてネットにおける言論の自由を訴えるようになり、その活動は、彼らが自由を脅かすと主張する企業や政府機関を攻撃するものへと変わっていった。
活動はオンラインフォーラムを中心に行われており、そこには活動別にチャンネルと呼ばれるチャットルームが多数ある。ここでサイバー攻撃用ソフトウエアの入手方法や攻撃対象などの情報を交換しているというのだ。