マット安川 第29代航空幕僚長・田母神俊雄さんが初登場。さまざまな日本の主権侵害が取り沙汰される中、日本の外交や防衛の実態など、現場にいなければ分からない話をうかがいました。
誤った歴史観から脱却し、日本の誇りを取り戻せ
軍事評論家、元航空自衛官・第29代航空幕僚長。2008年の退官後は、執筆やマスメディアでの評論活動などを行っている。著書に『田母神大学校』(徳間書店)、『田母神塾―これが誇りある日本の教科書だ』(双葉社)、『マンガ田母神流』(晋遊舎ムック)など。(撮影:前田せいめい、以下同)
田母神 いま日本で一番の問題は政治です。政治家あるいは公務に携わる人たちが、国を守る、国民を守る、国益を守るという意識が非常に希薄です。特に国政に携わる政治家は、国家観や歴史観がしっかりしていなければダメです。
国際政治とは何かというと、その本質は富と資源のぶん取り合戦だと私は思っています。世界中のすべての人たちが豊かに暮らすほどの富や資源は準備されていません。ですから、日本は外国に対していい顔をしていたら、日本人が一生懸命働いて得たものを持っていかれるだけです。
そういう意味で政治家は、日本国民が一生懸命頑張ったものが日本国民に還元されるように考えなければいけない。それが国を守るということです。
けれども戦後、アメリカの占領軍によって日本は残虐国家だ、好戦的だ、日本軍は悪いことばかりしてきたなどと、捏造の歴史を教えられてきました。
人類の歴史を見れば、歴史は誰がつくるかというと戦勝国がつくる。だから戦争に負けた日本は戦勝国の歴史観を強制されたわけです。正義の国、民主主義国家アメリカと、極悪非道の国家日本という歴史観です。
戦後の教育を受けた人たちは、アメリカは素晴らしい民主主義の国で、日本は遅れた国だったと思わされていますが、そんなことはまったくありません。日本も戦前は立憲君主制という立派な民主主義の国だったんです。
戦後、公職追放がありました。政治家や役人、旧軍人、地方自治体のリーダー、財界の指導者、愛国婦人会の長など女性も含めて、アメリカの言うことに反対するような人たちが20万人以上も追放された。
20万人以上も職を追われましたから、穴埋めが必要です。その穴埋めのために戻ってきた人たちの中に、戦前追放された左翼がいっぱい含まれていた。その中でも大学の学長や総長に左翼が充てられたことが戦後の日本の傷を深くした。