英MI5創設から100年、スパイ史明かす公認歴史書を出版

英情報局保安部(MI5)創設以来100年間の活動を記した歴史書が10月5日に登場した。著者は英ケンブリッジ大学の歴史学者クリストファー・アンドルー氏。題名は『The Defence Of The Realm』〔AFPBB News

週末の昼下がり、人並みにネットサーフィンなどをしていると、時たま中国のスパイ活動についてとんでもない情報に出くわすことがある。

 今回見つけたのは、2001年10月に外国に出張・滞在する政府関係者用に英国防省が作成したと思われる防諜マニュアルだ。もちろん、真偽のほどは不明である。

 全体で2389ページもある本マニュアルの秘密指定は最もレベルの低い「restricted」だが、限られた政府関係者にCD-ROMの形で配布されたようだ。本年(2009年)5月にご紹介した米情報関係者用部内資料の英国防省版だと思っていただければよい。

 同文書は、いかにも英国らしく、実にしっかり書かれている。防諜関連知識が基礎から実践まで包括的に解説されている。

 それとともに、特別防諜規則が適用される国々としてベラルーシ、中国、セルビア・モンテネグロ、ロシア、ウクライナを挙げ、ご丁寧にも、各国への訪問者に対し注意事項を分かりやすく説明しているのだ。

 「こんなものがネットに流れてよいのか」と心配になるほどだが、筆者としても見てしまった以上は仕方がない。今回と次回の2回に分けて、その中国、ロシア部分を詳しくご紹介したい。

あらゆる情報に関心のある中国の諜報機関

 「JSP440 THE DEFENSE MANUAL OF SECURITY : ISSUE 2」と題されたこの防諜マニュアルの別添資料「F」と「G」には、中国とロシアを訪問する英政府関係者に対する注意事項が簡潔に書かれている。この中露スパイ活動に関する記述を比較して読むと、実に興味深いことが見えてくるのだ。まずは注意事項の主要点を引用しよう。

(ロシア用注意事項から引用)

 厳しい国内経済事情により、ロシア連邦諜報機関(RFIS)はロシア経済を活性化する情報、科学技術情報およびロシアの政治的影響力を高める情報の収集を重視している。これには特許情報の盗取や西側の科学的発展に関する詳しい情報の入手などが含まれる。

 これに加えて、RFISは政治情報やロシア諜報機関の伝統的な収集対象であるNATOなど西側の防衛・安全保障関連情報にも関心がある。