ここに英語の小冊子がある。米情報関係者用に作成された部内資料「Intelligence Threat Handbook(以下、「ハンドブック」)」の2004年度版だ。
公式の秘密指定はないが、一応「内部資料」とされている。もちろん、インターネット上から合法的(?)に入手したものだが、中味は結構面白い。イタリアのサイトには何とその1995年版が堂々と掲載されているのだから、笑ってしまう。
情報収集は官民軍一体で
米連邦捜査局(FBI)のロバート・モラー長官(当時)は2007年、下院司法委員会の公聴会で、中国の諜報活動は「相当な懸念」であり、政府はその脅威に対抗する新しい手段を講じるべきだと述べた〔AFPBB News〕
同「ハンドブック」2004年版によれば、中国のスパイ活動には、他の主要国と同様、HUMINT(人による情報収集)、SIGMINT(電子信号による情報収集)およびIMINT(画像による情報収集)の3本柱があるらしい。
今のところ、後2者の能力は米国にとって大きな脅威とはなっておらず、米国における中国諜報工作の大半はHUMINTだとされている。
今回はこの「ハンドブック」をはじめ米政府文書に基づき、米国政府が中国のHUMINTをいかに見ているかを詳しく説明したい。
米国人が見る中国の各種工作活動の中には、ほかの国とは異なる「いかにも中国らしいやり方」が随所に見られ、実に興味深いのだ。
1.対象となる情報
米議会で中国のスパイ活動が米国最大の脅威になっているとする報告書が発表されたことについて、中国政府はこれを否定した(2007年)〔AFPBB News〕
(1)中国の周辺諸国で米国との関係が深い国(特に台湾)に関する政治・軍事情報
(2)米国の先端科学技術、特に軍事技術、軍事転用の可能な汎用技術に関する情報
(3)政治・軍事情報以外でも中国企業にとって有利となるような経済情報、ハイテク情報
注:ここで興味深いのは、これらのほかにも欧米や日本では単なる「ニュース解説記事」に相当するような分析情報をも収集対象としていることだ。政経一体の「中国株式会社」が、米国の様々な動向を真剣に調査研究し、合法・非合法を問わず貪欲に関連情報を収集しようとしていることがよく分かる。
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