「米ヤフーは、何でもそろっていて、日々訪れるユーザーも絶えることのない、あらゆる年齢層に受け入れられている米国最大のポータルサイト。しかし、同社にはそんな実績がありながら、何年もそれを売り上げに結びつけられないでいる」――。米ニューヨーク・タイムズが8月6日付の電子版でこんな報道をしている。
主戦場の米国市場でディスプレイ広告が減少
米国の市場調査会社コムスコアによると、米ヤフーは同国で米グーグルに次いで訪問者数が多いサイトで、この6月の月間訪問者数は1億7800万人と、3年前に比べて27%増加しているという。
ヤフーはニュース、金融情報、エンターテインメント、不動産、ショッピングといった分野で今もナンバーワンの地位を維持しているにもかかわらず、人気を業績に反映させることができないという問題を抱えていると記事は指摘している。
その最大の要因は、米国で高額のディスプレイ広告が売れなくなっていることだという。
4~6月期の同社のディスプレイ広告収益を見ると1年前に比べ5%伸びており、一見問題なさそうだ。しかし、同事業は米国以外の国で高い伸び率を示しているものの、米国では減少に転じている。ヤフーの売り上げの大半が米国市場によってもたらされていることを考えると、問題は深刻だという。
ヤフーでは、サービスのトップページなど露出度の高いスペースに掲載するディスプレイ広告を営業職員が対面販売している。広く一般に自社ブランドを認知させたい企業が高いお金を払ってこの広告枠を買っているのだ。一方でここ最近は特定の顧客層にターゲットを絞った広告に人気が集まっている。後者は、オークション方式のオンライン取引によって売買され、広告料金は前者に比べ低くなる。
売れ残った高額のディスプレイ広告はオンライン取引に回されることになるが、ヤフーではこの4~6月期にその割合が著しく増えたというのだ。
バーツCEO、「問題は解決に向かっている」
ヤフーのキャロル・バーツ最高経営責任者(CEO)は7月19日に開いた決算発表の電話会見でその原因について、米国の営業部門で責任者が交代したり、組織再編があったりしたためと説明。すべての問題は解決に向かっており、新たな担当者が改革のスピードを速めているとし、投資家不安を取り除こうと努めたが、投資家もバーツCEOの説明には納得していないようで、問題はより深いところにありそうだとニューヨーク・タイムズは伝えている。