2009年9月16日に誕生した民主党政権に対しては、大企業より中小企業、企業より家計を重視する政策の実現が期待されている。(本文中の各種図表も筆者作成)
子ども手当、公立高校の授業料無償化、高速道路の無料化などを民主党は総選挙のマニフェスト(政権公約)の目玉に掲げる一方、行政の無駄を徹底的に洗い出して財源を確保すると約束した。それでも17兆円規模の財源が不足するため、債券市場では「いずれ国債増発に踏み切る」の観測が支配的だ。
自民党の麻生前政権は、景気対策のために17兆円程度の国債増発を決めた。日本国債の需給悪化懸念が台頭し、10年物の金利は一時1.56%まで上昇した。
しかし国債消化の観点からは、当時よりも新政権下の方が需給状況は厳しい。景気悪化に伴って法人税収が予算より下振れており、財源確保を減収補填債に頼らざるを得ない。加えて、個人向け国債の売れ行きも芳しくない。「輪転機」にかけられる日本国債の量は、麻生政権時代より格段と増える見通しだ。
それなのに、総選挙翌日2009年8月31日の市場の反応は鈍かった。9月1日の10年国債の入札も無事にこなし、8日の5年国債入札は好調だった。
「需要供給」原則を逸脱した国債利回り
国債利回りの決定要因には、「需要」と「供給」の原則が当てはまる。政策を実行する場合には、国債の新規発行量に増加圧力が掛かり、需給面からは金利が上昇する材料に事欠かない。