バーナンキFRB議長は20日に下院予算委員会で行った議会証言で、議会民主党が検討・提唱している追加景気刺激策について、原則として支持する考えを明言した。

FRB議長「長引く景気低迷に直面」、ILO「失業者2千万人増も」

FRB議長「長引く景気低迷に直面」、ILO「失業者2000万人増も」〔AFPBB News

 議長は、景気刺激のための財政出動には不可避的に、現在と将来のトレードオフの問題(便益を現在世代が享受する一方で負担は将来世代にツケ回しされること)が伴うので、景気刺激効果が最も出てくるタイミングが必要とされる時期と合致することや、景気刺激効果を最大限に発揮するためにターゲットをよく絞ることの重要性を指摘。財政資金が効果的に責任を持って使われているかどうか、議会が監視する必要性にもわざわざ言及した。

 しかし、今後数四半期の経済成長が弱くなる見通しである(婉曲な表現でマイナス成長が続く可能性が高いことを示唆)ことに加え、景気悪化が長引く可能性があることに鑑みると、「議会が現時点で財政パッケージを検討するのは適切なことのように思われる」と断言。

 その上で、「信用状況の異常な引き締まり」がここまでの景気鈍化で中心的な役割を果たし、景気回復の遅れで重要な要素になっているので、議会が財政刺激策の追加を検討する際には、消費者・住宅購入者・企業・その他の借り手による信用へのアクセスが改善するのを支援するような手段を含む方向で検討がなされることが望ましい、と述べて、対策の具体的な内容に注文をつけた。

 金融危機が深化・拡大し、信用不安(信用収縮)が実体経済を悪化させる動きが足元で一層明確になる中で、「政策総動員」を、財政政策についても求めたものと受け止められる。上下両院の多数派であるとはいえ政権野党である民主党が提唱する一方で、ホワイトハウスが慎重姿勢をこれまでとってきた政策について、FRB議長が支持を明言するのは、やはり異例のことだろう。それは、金融政策による景気刺激という点で手詰り感が強いことへの、焦りの裏返しでもあると言えよう。

 FFレートはすでに1.5%という低水準にあり、今後少なくとも1.0%までは引き下げられる可能性が高い。1.0%というのは、ITバブル崩壊・米同時テロ事件後に当時のグリーンスパンFRB議長が主導した利下げ局面におけるボトム水準である。バブルの再発を防ぐためには、そうした水準まで金融緩和を推し進めるのは望ましくないというのが、住宅バブル崩壊後のFOMCメンバー発言に漂っていた雰囲気であった。だが、大恐慌以来とされる金融危機発生と急激な景気悪化を前にして、バーナンキ議長は「FF1.0%」へと追い込まれつつある。

 1.0%の先については、物理的な利下げ余地が非常に小さい上に、難題がある。市場の一部にゼロ金利政策を予想する向きもあるが、筆者は、米国はゼロ金利政策を採用しないとみている。せいぜいFF0.5%までの引き下げで限界だろう。