写真提供:共同通信社
ユニクロを展開するファーストリテイリングの連結売上高が3兆円の大台を突破した(2025年8月期)。世界2位のH&Mに肉薄し、首位インディテックスの背中も見えてきた。同社の元執行役員が書いた『ユニクロの戦略』(宇佐美潤祐著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集。飛び抜けた成長を続ける同社の戦略を徹底解説する。
フリース、ヒートテックに並ぶヒット商品「エアリズム」の成功と、顧客の声から“未充足ニーズ”を捉えるAI活用の舞台裏に迫る。
未充足ニーズをいかに吸い上げるか
『ユニクロの戦略』(SBクリエイティブ)
■ お客様の声をAIが分析
ユニクロが未充足ニーズを捉えるうえで重要な役割を果たしているのが、AIを活用したデータ分析です。これが「情報製造小売業」というストラテジーの具体的な実践となっています。
ユニクロは年間数千万件に及ぶ顧客の声を収集し、それをAIで分析して、真のニーズを把握しようとしています。これには、店舗からのフィードバック、公式アプリでの評価、SNSでの言及、公式サイトのレビューなど、様々なチャネルからの情報が含まれます。
2018年7月には、AIによるチャット接客機能「UNIQLO IQ」を公式アプリに本格搭載し、「あなた専用のお買い物アシスタント」をコンセプトとした新たな購買体験の提供に乗り出しています。
このサービスの特徴は、FAQなどの質問対応だけでなく、おすすめのコーディネートの提案から、商品ページの閲覧、商品在庫の確認、最終的な商品の購入に至るまでのサポートをチャットで完結できる点です。着こなしや用途など利用シーンに関する相談、体型の悩み解決、トレンドについての質問など、ユーザーとAIの対話を通じて、適切な提案ができるよう工夫されています。つまり、悩みを相談しながら、自分自身に合った商品の購入までをプラットフォーム上で完結できるのです。
もちろん、そうした悩みもユニクロの次なる商品開発の重要なヒントになります。






