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ユニクロを展開するファーストリテイリングの連結売上高が3兆円の大台を突破した(2025年8月期)。世界2位のH&Mに肉薄し、首位インディテックスの背中も見えてきた。同社の元執行役員が書いた『ユニクロの戦略』(宇佐美潤祐著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集。飛び抜けた成長を続ける同社の戦略を徹底解説する。
「フリース」「ヒートテック」など“常識破り”のヒットはどう生まれたのか。商品開発の秘密に迫る。
ユニクロはいかにしてブルーオーシャン市場を創造しているのか?
『ユニクロの戦略』(SBクリエイティブ)
■ 服の力で常識を変えろ
ユニクロが他のアパレルブランドと一線を画している最大の特徴は、「ブルーオーシャン戦略」を追求していることです。ブルーオーシャン戦略とは、既存市場(レッドオーシャン)での血で血を洗う競争を避け、競争のない新市場(ブルーオーシャン)を自ら創造する戦略です。
「服を変え、常識を変え」という部分は、まさにイノベーションを起こすことを意味しています。従来の服の概念を覆し、テクノロジーの力で新たな価値を生み出す。成熟したアパレル業界に産業革命を起こして、世の中の人々の暮らしをより豊かにする。それがユニクロの商品戦略の本質です。
ヒートテック、フリース、ウルトラライトダウン、エアリズムといった商品は、いずれも従来の常識を覆し、新たな市場を創造した例です。これらの商品は、単なる「機能性アイテム」ではなく、人々のライフスタイル自体を変えるほどの影響力を持っています。
今までの服の常識を変えることで新たな市場をつくれば、競合もいません。高い成長も高い利益率も享受できます。ユニクロがすごいのは、このようなブルーオーシャン戦略を継続的に成功させている点にあります。フリースの後にヒートテック、ウルトラライトダウン、エアリズムなど、常識を変える商品を次々と世に送り出しています。






