写真提供:共同通信社/日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 ここ数年、多くの企業にとって重要な経営課題となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。企業内だけでなく、今や生活や社会にも広く深く浸透しつつあるデジタル技術を活用して、新たな価値を生み出そうという取り組みだ。しかし、DXに成功しているという企業は決して多くない。コンサルティング会社での経験を基にその原因を分析し、成功への道筋を解説しているのが、『Digital Impact』(田中一生著/プレジデント社)だ。同書の内容の一部を抜粋・再編集し、著者が提唱する「DXフレームワーク」の考え方と合わせて紹介する。

 DX成功に欠かせない要素として著者が挙げるのが「ビジョン/KPI(重要業績評価指標)/KGI(重要目標達成指標)」「ガバナンス」などの11の項目。実際にこれらを実践して成果を上げているLIXIL、アシックス、米国ドミノ・ピザの3社に見られる成功要因とは?

振り切った事業構造改革で、大きな成果を挙げた3社を知る

【LIXIL】技術導入からガバナンス強化まで上層部がリード

 経済産業省、東京証券取引所、IPAは、上場企業の中でDX推進に優れた実績を持つ企業を「DX銘柄」として選定しています。

 このDX銘柄の2024年度で「DXグランプリ企業」に選定された企業の一つが、株式会社LIXILです。

 同社は「これまでの常識の枠を超えたメーカーへと変革」することをDXの目的に掲げ、顧客体験(CX)や従業員体験(EX)を高めていく「LIXILデジタルトランスフォーメーション・ロードマップ」を策定しました。

 具体的な施策として、CX領域ではLIXILオンラインショールームが挙げられます。購入検討中のエンドユーザーに対して、施工店などビジネスパートナーとの連携を効率化するなど従来型の販売モデルから顧客体験を一変させたほか、ビジネスパートナーのコスト削減と販売サイクルの短縮も実行して成約率や成約スピードを高めることに成功しました。

 EX領域ではプログラミングなしでアプリ開発ができるノーコードツールを導入し、全役員をはじめ現場への浸透を図っています。