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「マネジメントの父」ピーター・ドラッカーがこの世を去って20年。今なお、多くの経営者やビジネスパーソンから支持される理由の一つに、社会や組織のマネジメントをテーマとして扱いながら、人としての成長を促す色あせないメッセージを残してきたことがある。自己実現や組織論、ビジネスマインドなど、彼の言葉から見えてくる「働くこと」の本質とは?

 本稿では、『ドラッカーに学ぶ仕事学』(佐藤等著/致知出版社)より内容の一部を抜粋・再編集。人生100年時代における第二の人生の歩み方について、ドラッカーの言葉から探っていく。

ドラッカーの考える「ライフシフト」

ドラッカーに学ぶ仕事学』(致知出版社)

■ 成功と失敗を分けるものは何か――ドラッカーの結論

「第二の人生をどうするか」を考えたことはあるでしょうか。ドラッカーは「第二の人生をもつには、1つだけ条件がある。本格的に踏み切るはるか前から、助走していなければならない」といいます。

 60歳を過ぎた筆者と同世代の多くも定年を迎え、続々と次の新しい職に就いています。

 一世代若い、30代、40代ともなれば、3つ目、4つ目の職場で働いている人も珍しくない時代です。

 しかし、ドラッカーがいう第二の人生とは、単なる転職を意味するものではありません。人生のギアチェンジともいうべきものです。それは、自らの生きる活力を復活させることを意味します。

 ドラッカーは、3つの方法を紹介しています。

 第一の方法は、キャリア・チェンジです。つまり職場を変えたり、職業を変えたりすることです。

 第二に、パラレル・キャリアです。つまり複業や副業です。非営利活動に参加することもこれにあたります。

 第三に、ソーシャル・アントレプレナーです。社会課題を解決する非営利の活動などを自ら始めることです。

 私たちが生きる知識社会は、激しい競争社会でもあります。全員が成功することはなく、成功する者もいれば、失敗する者もいるとドラッカーはいいます。では、成功と失敗を分けるものは何か。