
石油事業を軸に同質性を重んじていた時代から状況が変わった現在、新たな事業に挑戦するにはどんな人事戦略が必要なのだろうか――。学習院大学の守島基博教授が聞き手となって、コスモエネルギーホールディングス取締役常務執行役員の竹田純子氏が語った、人的資本経営の課題や施策についてお届けする。
既存事業の促進と新規事業の創出をかなえる人材を育てる
守島基博氏(以下、守島) 本日は、真の人的資本経営とは何か、そしてその実現の鍵を握る戦略人事とはどうあるべきかについて議論したいと考えています。早速ですが、コスモエネルギーグループの人事の在り方や課題についてお話しいただけますか。
竹田純子氏(以下、竹田) コスモエネルギーグループは、2023年度より第7次連結中期経営計画(2023年度~2025年度)ならびにVision 2030というビジョンを掲げて事業を進めているところです。
Vision 2030では、主力の石油事業の競争力強化に加え、グリーン電力のサプライチェーンの強化、次世代エネルギー拡大の3つを柱としています。
これら3つの施策を推進するには、やはり人材が必要です。石油事業がほとんどであった時代には、われわれは同質性が高く、仕事の仕方も守りの集団でした。しかし、既存事業に加え、次世代エネルギーの拡大など新たな事業にチャレンジするには、人材の多様性や、自律・主体的な姿勢、成長意欲などが必要です(下図)。
そこで、コスモエネルギーグループでは、求める人材の要件として、「挑む」「伸ばす」「極める」の3つを掲げました(下図)。
新しいことに自発的にチャレンジし、自らを伸ばし、極めてもらう、そういった人材集団でありたいということで、今まさに人的資本経営を進めているところです。