
1885年に渋沢栄一によって設立・創業された東京ガス。日本で初めて液化天然ガスの輸入を開始した1969年を「第二の創業」、現在は「第三の創業」を掲げてエネルギー安定供給と脱炭素化を両立させるためのビジネスモデル変革を進めており、その最重要課題の1つとしてDX人材育成を位置付けている。現場から経営層を巻き込む、DX人材育成戦略と具体的な施策、変革への道筋のつけ方について、DX推進部長の岸澤剛氏に聞いた。
人材育成の研修を変革プロジェクトに直結させる
東京ガスの2023年から3カ年の中期経営計画は、デジタルに非常に踏み込んだ内容となっており、DX人材の拡大もその主要戦略の1つに位置付けられています。
当社のDX人材育成の特徴を一言で表すと、「DX人材拡大と変革(X)創出の好循環をつくる」となります。具体的には、育成したDX人材が変革のプロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトを通じてさらに人材を育てる、というサイクルを回していくことです。
実際の人材育成プログラムは、DX人材のレベルを「活用人材」「中核人材」「高度人材」の3段階に、タイプを「ビジネス変革人材(BX)」「データサイエンティスト(DS)」「デジタルエンジニア(DE)」の3種類に分けて、実施しています(下図)。
2022年度よりデジタルツールの活用とスキル習得を目的としたDX基礎教育を皮切りに、2023年度には実践的なハンズオン型のDX発展教育を新設・拡大。さらに2024年度からは、これらの教育に加えて、より大きな変革を主導できる人材育成を目指して、各組織のグループマネジャーなどのミドルマネジメント層、トップマネジメント層に向けたプログラムを開始しています。
次からは、変革につなげるための当社の育成プログラムの取り組み、そこでの気付きや工夫してきたことについて、具体的に述べていきます。







