
多くの企業では、自社で多数の技術を保有しているものの、それら一つ一つの知見は部門ごとに蓄積され、全社での共有が十分でないケースが散見される。自動車部品・軸受・工作機械の製造会社のジェイテクトでは、こうしたサイロ化を克服し、自社に点在する多様な技術や強みの“掛け合わせ”を創出するプラットフォームの構築を進めている。取り組みをけん引するのは、2024年6月から社長に就任した近藤禎人氏だ。同氏にプロジェクトの詳細を尋ねた。
変化する業界の「新たな困りごと」にも対応する仕組み
──ジェイテクトでは、自社技術の掛け合わせを創出するプラットフォームの構築に取り組んでいるとのことですが、具体的にどのようなものですか。
近藤禎人氏(以下敬称略) 当社は軸受メーカーである光洋精工と、トヨタ自動車の工機部門が分離・独立して誕生した豊田工機が2006年に合併した会社です。そうした背景もあり、自動車のステアリングや駆動、軸受や工作機械などに関連する多様な要素技術を保有しています。
しかしこれらは各事業の中で進化しており、ある技術を別事業に応用するといった掛け合わせは十分に実践されていないと感じました。活用先が固定され、サイロ化を招いていたともいえます。
事業や部署に関わらず、さまざまな技術をクロスして活用できれば付加価値を高められるでしょう。それを実現するのが、今回のプラットフォーム構想です。
具体的には、当社の技術的な強みを集約した「テクノロジープラットフォーム」と、それに加えて人事・営業・財務などの各種機能の強みも含めた「コアコンピタンスプラットフォーム」を作る予定です。今まさに構築の最中です。
──プラットフォームはどういった仕組みなのでしょうか。