
経営変革の切り札とされるDX。多くの日本企業が推進に取り組むが、「デジタル化」や「カイゼン」にとどまるケースが少なくない。本連載では、『まやかしDXとの決別! 生成AI時代を勝ち抜く真のデジタル事業変革』(横山浩実著/日本経済新聞出版)から内容の一部を抜粋、再編集。DXを真の事業変革につなげる要諦を考察する。
今回は、「事業のプロセス強化・筋肉質化/レジリエンス向上」が生み出す3つのビジネス価値やBPR(Business Process Reengineering)を抜本的に行うためのツボについて解説する。
ビジネス価値2――事業のプロセス強化・筋肉質化/レジリエンス向上

■ 事業のプロセス強化・筋肉質化/レジリエンス向上で生み出せるビジネス価値
企業はエネルギーコストの増大、サプライチェーンの混乱、インフレ率の上昇などへの対処に迫られており、レジリエンスの向上や生産性・効率向上などが急務となっている。
これまでは部門ごとに分散された個々の処理を、そのままデジタル処理に置き換えることにとどまっていた企業は多い。今後は、一部に人的(アナログ)処理が残った状態での連携を撲滅したり、統合管理されたデータを用いた一気通貫のサービスの提供などレベルの変革を進め、無駄のないプロセスとリソースにより必要最低限のコストで遂行する必要がある。
事業のプロセス強化・筋肉質化/レジリエンス向上で生み出せるビジネス価値は、生産性向上、リソースの最適配置、外部環境変化への迅速な対応である。
① 生産性向上
生産性向上では、これまでも、そしてこれからも、少ない時間で多くの成果を出すことが目的であることに変わりはない。同時に、DXにおける生産性向上の特徴は、抜本的な見直しにより自動処理の範囲を大幅に広げ、創出する成果を大幅に高めてトップラインを伸ばし、各種リソースを業務の本質に回帰することを目指す点にある。