■ CROとは営業責任者なのか
「CROという役職を掲げていても実態は営業責任者だ」ということは、日本国内に限らずよくあることです。また、CROを営業組織の長のことを示す新たな名称だと捉えている人もいるかもしれません。
しかし、CROと営業責任者との間には明確な違いがあります。営業責任者の管理する領域である営業部門は通常、新規顧客獲得や売上の受注目標達成に焦点を当て、半期や年度ごとの目標など比較的短期的な目標に向けて活動します。
一方、CROは企業全体の収益を最大化する責任を負い、より中期的視点を持って市場の動向や長期的な目標を達成するためにやるべきことを念頭に置きます。そして営業だけではなく、マーケティングやカスタマーサクセスなど、企業の収益に影響を与えるすべての部門を統括します。新規顧客獲得や維持・拡大、そして継続利用の促進もその活動範囲です。
CROの視点は、単なる売上の増加だけでなく、企業全体の収益性と成長戦略に関連したものであり、顧客体験の向上やLTV(顧客生涯価値)の向上のための仕組みの構築など収益を生み出すすべての要素に関連しています。
日本の伝統的な組織体制では、いわゆるカスタマーサクセスの役割を営業組織が担っているケースも多いため、「マーケティングを含むレベニュープロセスのすべてを管理する範囲とし、中長期視点で企業価値向上に向けた収益性向上に責任を持つ」と捉えるとわかりやすいかもしれません。
<連載ラインアップ>
■第1回 なぜ営業DXが成功しないのか? 米国で6割超の大企業が専門チームを設ける「RevOps」とは
■第2回 アマゾン、グーグル、マイクロソフト…世界的ビッグテックはなぜ「RevOps」の専門チームを組織するのか
■第3回 サイロ化された組織で起こり得る「データのバイアス」とは? 「RevOps」が経営判断にもたらす信頼性
■第4回 レベニュー戦略全体を統括するCROは、なぜ現代のビジネスにおいて重要視されるようになったのか(本稿)
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