その上で、たとえば「先ほどのお話は、つまりはこういうことでしょうか?」などと、相手の話のポイントを要約したり、言い換えたりして確認する。

 相手はしっかり自分の話を聞いてくれているな、よく理解してくれているなと感じて、安心したり嬉しくなるわけだ。すると、どんどんまた話をしてくれる。

 インタビューする上で、とくに重要になるのは「質問力」だ。よい質問は、相手の話したいという欲求を刺激する。

 経験の浅い駆け出しのコンサルタントが、「どうしてもクライアントからふさわしい情報が取れない」と嘆いていることがある。本人の質問力がないゆえだが、基本的な勉強不足であったり、結論仮説がないなど、相手ではなく自分の問題であることが多い。

 そもそも的確に質問をするためには、まず相手からどんな情報を得たいかが明確になっていなければならない。その上で、相手のことや自分が質問したいことに関して、十分な知識や情報がなければならない。

 もっと言うならば、「結論仮説」があれば、質問力はさらに高いものになる

 おそらくこの会社には、こんな課題や問題があるに違いないと仮定する。その結論仮説を検証するために、自ずと適切な質問が生まれてくるというわけだ。

 コンサルタントの実力を見分けるには、相手の話を聞き、インタビューして情報を取れているか――つまり、「聞き上手」であるかどうかをチェックしてみるといい。

「話し上手」は口が巧ければある程度成立するが、聞き上手、質問上手はそうはいかない。誤魔化しようがないから、コンサルタントの実力がすぐにわかるだろう。

コンサルの実力を見抜くポイント③
食事やお酒などのつき合いが上手にできる

 私はボストン コンサルティング グループ(BCG)にいた頃から、クライアントはもちろん、さまざまな人たちと食事を一緒にしたり、お酒を飲んだりしてきた。

 食事やお酒をともにすることで、お互いを理解し合い、本音を言い合える関係を築いてきた。

 コンサルにとって、こうしたつき合いは仕事をする上でとても重要だと考えている。

 一般に、アメリカのコンサルタントは、クライアントとディナーを食べる習慣がない。朝か昼に一緒に食事しながら仕事の話をするが、夜の食事やお酒は一緒にしないのが普通だった。ディナーは帰宅して、家族と一緒にとる人が多いからだ。

 対して日本は、夜に一緒にお酒を飲んで話をすることが多いと思う。日本人である私も“夜派”であり、当時のBCGでは私ともう一人、ウィーンの事務所にやり手の女性のコンサルタントがいたが、この2人が“両横綱”とされていた。

 両横綱はBCGでの一種のコモンジョークになっていて、それだけ目立っていたということだろう。