配送の効率化は、店舗間の商圏を隣接するように集中出店させるドミナント(高密度多店舗出店)方式にも結び付いている。これは、加盟店の相互の売り上げに響き、しばしば独占禁止法との関係で問題にされるが、契約にもあるように、知名度の向上、管理効率の向上、広告効率の向上のみならず、物流効率に貢献している。同じ品質で米飯を提供するため、専用工場から店舗までの距離を考慮するほか、ほかの商品でも配送効率を良くしている。

コンビニの物流特性

 コンビニは売れ筋の品を揃えている。セブン・イレブンの場合、仕入れは基本的に、本部の推奨商品から選んで購入する。本部集中仕入れ方式は、独占禁止法の視点から、一部問題にされるが、スケールメリットを追求できるとともに、サプライヤーとのコミュニケーションが改善され、商品の売れ行きに関する情報を新商品開発に活用できるメリットもある。

 一般に、加工食品、日配品、飲料、お菓子、日用品などの新商品が多く、毎週100品目が新たに加わるが、このことは毎週100品目消えていくということにもなる。そのため、年間でみた場合の入れ替え率は70%、すなわち去年と比べた場合、去年と同じ商品は30%しかなく、あとは全部入れ替わっているということになる。顧客の販売行動に沿って、市場環境に応じて、柔軟に対応している。

 すなわち、定番商品というのは少なく、斬新さを提供している点が特徴的である。このように新商品を多く導入し、かつその大半が入れ替わっていくという売り方は、メーカーの在庫戦略を非常に難しくしている。新商品を売る場合、メーカーは欠品が許されない。売れ行きが良く、大量に注文が来た時に、欠品をしないことを強く要請される。

 しかしながら、実態として、ほとんどの新商品は、2、3週間で棚から消えていく。セブン・イレブンの各店舗で、販売打ち切りになったとたんに、多くの商品が返品されることから、コンビニは、大量に新商品を導入し、大量に返品を繰り返しているといえる。

セブン・イレブンの物流体制

 セブン・イレブンの物流体制の特徴として、大きく2点ある。1点目は、必要な商品を、必要な量、必要な時に、良い状態で納品することである。コンビニは24時間営業であり、かつ店舗スぺースの関係から在庫をほとんど持てない。これを支えるのが、適切で効率的な物流と情報システムである。

 消費者の需要に迅速に対応し、店舗が必要とするタイミングで商品供給がなされることが重要となる。そのためには物流体制を支える情報システムも重要となる。セブン・イレブンでは、物流体制の構築とともに、情報システムのインフラ整備を先進的に実施してきた。効率の達成は、物流と情報の改善の融合の結果といえる。