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2015年度に12億円まで落ち込んだ営業利益を2019年度に141億円までV字回復させた、化粧品・健康食品メーカーのファンケルグループ。2003年に経営の現場から退き、2013年に復帰した創業者の池森賢二代表取締役会長(現・名誉相談役)が真っ先に着手したのが、企業内大学「ファンケル大学」の設立だった。経営再建の最優先課題がなぜ人材教育で、なぜ「企業内大学」だったのか。ファンケル大学を設立した狙い、経営における役割などについて、設立以来、一貫してファンケル大学の運営に携わってきた学長の田中淑子氏に話を聞いた。
「企業内大学」特集
■V字回復支えた「ファンケル大学」、現場復帰の創業者はなぜ設立を唱えたのか※本稿
■何を学ぶか決めるのは会社ではない 星野リゾートが麓村塾を続ける本当の狙い
■自主性重んじるソフトバンクの企業内大学、主役は勝手に燃える「自燃層」
■「やってみなはれ」を海外にも、サントリー大学で世界中の従業員が学ぶこと
■「戦後初の赤字」から急回復、住友電工の再建を支えた“教育”の大きな力
■デジタル時代だからこそ「現物教育の重要性が増している」、住友電工の“現場で育てる”モノづくり人材育成法
■「気骨ある異端児」を育てるために、住友電工が行う“上司の改革”へのアプローチ
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経営に復帰した創業者が抱いた「3つの危機感」
——2013年に創業者の池森氏が再び経営の指揮を執ったタイミングでファンケル大学が設立されています。当時の社内はどんな状況だったのでしょうか。
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ファンケル入社後、直営店舗にて開発業務や販売企画業務に従事。その後、人事部での採用・企画・労務を経て社内教育機関であるファンケル大学へ。同大学では全国の直営店舗スタッフや電話窓口スタッフ向けの教育体系を構築。現在はファンケルグループ全体の教育研修を統括する。
田中淑子氏(以下敬称略) 経営の現場に戻った池森は、当時の組織や社員に対して3つの危機感を抱いていました。第一に、理念の希薄化。第二に、次世代の経営層が育っていないこと。第三に、全国の直営店スタッフの専門知識がおろそかになっていること。
つまり、「人が育っていない」ことが業績低迷の根本原因だと言うのです。その危機感から、2013年6月に企業内大学「ファンケル大学」が設立されました。
——既存の人事部の中で人材教育体制を強化することもできたと思います。なぜ「企業内大学」だったのでしょうか。