コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)に取り組む企業は、事業シナジーをどのように定義し、創出しているのか。日本の代表的ベンチャーキャピタルJAFCOが主催する「JAFCO CVC Summit 2023」のセッション3「自社の強みを活かす 事業シナジーの作り方」では、セイノーHDの河合秀治氏、三井不動産の山田暁氏、Google Cloud Japanの堂田丈明氏、モデレータとして富士通の松尾圭祐氏が登壇。業界の異なる各社が、それぞれの事業シナジーの創出の在り方を語った。
事業シナジー創出に取り組む、各社のCVC活動
CVCで創出される、事業シナジーのかたちは企業によってさまざまに異なる。このセッションでは、物流、総合デベロッパー、ITと業種の違う各社が、CVC活動の中で事業シナジーをどのように定義し、つくり上げているかが語られた。
セイノーホールディングスのCVC活動は、物流業界が直面する「2024年問題」を見据えたオープンイノベーションへの挑戦として始まった。2019年に1号ファンド、2023年に2号ファンドを立ち上げ、それぞれ70億円、100億円という規模で取り組んできた。
同社執行役員でオープンイノベーション推進室室長を務める河合秀治氏は、「1号ファンドはロジスティクスに特化したスタートアップに投資しており、シナジー創出を前提としています。物流業界の課題解決を目指し、複数事業を進めているところです」と語った。
オフィスビル、住宅、ホテル、商業施設、物流施設などを手がける総合デベロッパーである三井不動産は、スタートアップとの共創を「魅力的な街づくりへのアプローチ」と位置づけている。ハード面からだけでなく、ソフトやサービス面から提供価値をつくり出す協業にも取り組み、幅広い領域に投資している。
ベンチャー共創事業部共創事業グループの山田暁氏は、「当社は、オフィスビルではなくオフィスライフを、マンションではなく暮らしを、商業施設ではなく楽しい時間や空間を提供する企業です。それをオープンイノベーションで実現していくのが私たちの部門です」と語る。