
海外売り上げが7割を占めるグローバル企業、横河電機。同社が今、目指しているのは、従来の製造業から「ワールドクラスのソリューション・サービスカンパニー」に生まれ変わることだ。その変革に伴い、同社のDXはどう変化し、どのような未来を目指すのか。DX推進のキーパーソンに話を聞いた。
横河電機のDXは2つ、インターナルDXとエクスターナルDX
――横河電機が2018年に本格的なDXをスタートし、6年目を迎えます。現在はどのような状況でしょうか。

1990年、NTTデータ入社。その後、ソフトバンクファイナンス(現・SBIホールディングス)を経て、2003年にソニーへ移り、グローバルITトランスフォーメーションを推進。2018年3月、横河電機の執行役員(CIO)兼デジタル戦略本部長に就任。2019年4月からデジタルソリューション本部DXプラットフォームセンター長を兼務し、お客さま向けDXサービスの企画開発を担当。
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好きな言葉:「なせばなる」。変革したい時に私は「10回同じことを言う」ということをします。人間が新しいことを聞く場合、3回までは「えっ?」と感じますが、5回になると耳になじんで当たり前になり、10回になると現実化すると考えています。
お薦めの書籍:『FUTURE READYデジタル変革成功への4つの道筋』(ピーター・ウェイル(著),ステファニー・L・ウォーナー(著),イナ・M・セバスチャン(著))。各社のDXについてインタビューをし、成功した進め方を整理したものです。その整理されたフレームワークで検証したら、私たちが行ってきたこととそれほど違いがなかったことが分かりました。試行錯誤でやってきたことに理論的な裏付けができました。
舩生幸宏氏(以下敬称略) 横河電機では今2つのDXを進めています。1つが自社向けのインターナルDX、もう1つが世界中の顧客に向けて技術やサービスを中心にDXを支援するエクスターナルDXです。
この2つは互いに関連しており、インターナルDXで得た知見をどんどんエクスターナルDXに提供するなど有機的に結び付けています。特に自社内の失敗事例は他社にとっても有益な情報となります。
また、もともと工場やプラントのOT(オペレーショナルテクノロジー、機器の制御・運用技術)が得意な会社として、現在はOTとITの統合(OT/ITコンバージェンス)を進めています。
これには、物売りからサービス業へのシフトという意味があります。横河電機はOTに関する多様な技術や製品を提供してきましたが、ワールドクラスのソリューション・サービスカンパニーに生まれ変わることを目指しています。
この変革への貢献がデジタル戦略本部の今のミッションになっています。

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