忙しすぎるリーダーは、どのようにチームを動かせばよいのか。前編に続き、『チームを動かす すごい仕組み』を著した立命館大学大学院経営管理研究科教授の山本真司氏に、チームメンバーが自発的に動いて成果を出せるようになるための組織づくりについて語ってもらった。「史上最凶のリーダー」を変えたマネジメント法、組織を変えるためのアプローチとは?
■【前編】組織を成長させるカギ、今こそリーダーに必要な「脱・頑張り」マネジメント術
■【後編】生まれ変わった「史上最凶の指揮官」、部下から言われた一番嬉しい言葉とは(今回)
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失敗から学び、考案した「リーダーが頑張らない仕組み」
――前編では、山本さんが考案した「リーダーが頑張らない仕組み」を伺いました。そもそもなぜ、この仕組みを考えようと思ったのでしょうか。
山本 この仕組みは私の失敗体験から生まれたものです。外資系戦略コンサルティングファームへの入社当時、上司に指示を求めたり相談したりすることは「負け」だと思っていました。自分で仮説を立てて動き、結果を出すことを理想とし当初は成績も良く、高く評価してもらっていたものです。
しかし、そんな私がリーダーになったため、部下は非常に相談しづらかったと思います。部下からの相談を突っぱねながらも、最後の最後で「違う!そうじゃない!」と口を出してやり直しをさせていましたから。当然、部下からの評判も悪く、「史上最凶の指揮官」と言われたこともあります。
――リーダーとしては評価を得られなかったわけですね。
山本 この方法では誰も幸せにならないと思い、次に、全部自分で考えて細やかな指示を出す方法に変えました。すると、一見うまく回っていましたが、3つの問題点が出てきました。
1つ目は、すべてのプロジェクトを末端まで把握することは物理的に困難であること。2つ目は、部下が指示待ちの姿勢になってしまい、一向に育たないこと。3つ目は、私の意見を絶対視してしまい、現場の声が反映されなくなってしまったことです。
私の過去の経験から答えを導き出したとしても、私自身が現場にいるわけではないので、どうしても現場の感覚からずれる状況が生まれてきます。しかし、それに対して誰も反対意見を言ってきません。「これ、少し違う気がするんだけど、どう思う?」と聞くと、「やっぱり山本さんもそう思いますか? 私もずっとそう思っていました」などと言われる始末。そこでようやく、もっと多くのことを部下に任せなければならないと思うようになり、この「仕組み」を考え出したのです。