22年9月末時点のメタの従業員数は約8万7000人だった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による巣ごもり需要の増大を受け、従業員数は19年末から2倍に増えていた。しかし22年11月、デジタル広告市場の低迷や株価急落を受け、創業以来最大のリストラ策を発表。これによりメタの従業員数は約7万6000人に減ったとみられる。今回の人員削減で従業員数は21年夏時点と同水準の約6万6000人に減ることになる。

ザッカーバーグ氏「組織スリム化に重点」

 ザッカーバーグ氏は今回、先の決算説明会で発言した「効率化の年」を強調した。「無駄のない組織は、最優先事項をより迅速に実行する。 人々はより生産的になり、仕事はより楽しく充実したものになる。 私たちは、最も才能のある人々をより引き付けられるようになる。 効率化の年には、重複するプロジェクトや優先度の低いプロジェクトを中止し、すべての組織を可能な限りスリムにすることに重点を置く」と述べた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、メタで中止されるプロジェクトは、メタバース関連事業「Reality Labs(リアリティー・ラボ)」で開発中のウエアラブル端末の一部。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)への長期的な研究開発は続けるものの、製品を普及させるための短期的な取り組みは停止するという。

 メタの22年10~12月期の売上高は前年同期比4.5%減の321億6500万ドル(約4兆3300億円)で、減収は3四半期連続だった。純利益は同55%減の46億5200万ドル(約6300億円)。主力のネット広告事業の売上高は312億5400万ドル(約4兆2100億円)で、前年同期から4.2%減少した。

 ザッカーバーグ氏が次の成長分野と位置付けるReality Labs部門の売上高は同17.1%減の7億2700万ドル(約1000億円)にとどまり、営業損失は前年同期の33億400万ドル(約4400億円)から42億7900万ドル(約5800億円)に拡大した。

 ネット広告の不振で主力アプリ製品群の収益が低下する中、赤字続きのReality Labsが重しとなっている。Reality Labsの年間営業損失は、前年の101億9300万ドル(約1兆3700億円)から137億1700万ドル(約1兆8500億円)に膨らんだ。