米メディアの9to5Macによると、開発者は掲出先として、特定の競合アプリを指定するはことはできない。しかしここには関連性の高い広告が表示されるため、直接競合する開発者のページに自社広告を出せる可能性もある。

 アップルの担当者はCNBCとのインタビューで、「あらゆる規模の開発者がビジネスを成長させる機会を提供する」と述べた。「新しい広告枠は、当社の他の広告サービスと同じ基盤の上に構築される。コンテンツはApp Storeが承認したもののみが表示され、厳格なプライバシー基準を順守する」(アップルの担当者)

22年のデジタル広告収入、50億ドルに

 アップルはデジタル広告事業の売上高を開示していない。だが、広告を含む、アプリや音楽、動画配信などの「サービス事業」の売上高は22年4~6月期に196億400万ドル(約2兆8200億円)となり、前年同期から12.1%増加した。伸び率は同社全事業部門の中で最も高い(独スタティスタのインフォグラフィックス)。

 米バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ワムジー・モハン氏は、アップルが22年に検索広告事業だけで、50億ドル(約7200億円)の収入を生み出すと予測している。

 米金融調査大手エバコアISIも同様の見解を持つようだ。エバコアISIによると、2010年代後半、アップルの広告事業の売上高はわずか数億ドルだった。これが22年は47億ドル(約6800億円)になり、26年には304億ドル(約4兆3700億円)にまで拡大すると予測している。

 こうした中、アップルがデジタル広告部門の人員を増やす計画だと報じられている。英フィナンシャル・タイムズによると、アップルはプロダクトデザイナーやマネジャー、データエンジニア、セールススペシャリストなど、計216人を新規採用する方針。現在、アップルのデジタル広告部門の人員規模は約250人。これをほぼ倍増させる計画だという。

 (参考・関連記事)「アップルのデジタル広告事業が急成長 | JDIR