ディズニー、多種多様な事業の相乗効果狙う
ディズニーでは、ボブ・チャペックCEO(最高経営責任者)がかねて、社内外でクロスセリング(他商品交差販売)強化の姿勢を示していた。ディズニーの場合、映画や動画配信のほか、テーマパーク事業を持ち、リゾートやプライベートジェット旅行などの旅行商品も販売している。衣料品や玩具などのグッズ販売も手がけており、多種多様な事業形態による相乗効果が自社の強みだと考えているという。
同社は「D23」と呼ぶ年会費99.99~129.99ドル(約1万4000~1万8000円)のファンクラブを運営しており、熱心なディズニーファンに向けて特別イベントを開催したり、グッズを販売したりしている。19年にはDisney+の3年間割引サブスクリプションを提供した。
だが、ディズニーが新たに検討しているメンバーシッププログラムは、一般のファンや顧客を対象にするものになるという。
動画配信市場は競争激化
動画配信サービスはこうしたサブスク型プログラムと相性が良いとされ、アマゾンやウォルマートが会員特典として提供している。一方で、動画配信は競争が激化しており、各社は広告付きプランを導入したり、値上げしたり、配信先を拡大したりして事業成長を狙っている。
Disney+の会員数は22年4~6月期に1440万人増加し、6月末時点で1億5210万人になった。傘下の動画配信「Hulu(フールー)」やスポーツ配信の「ESPN+」などを含めたディズニーの合計会員数は2億2110万人で、米ネットフリックスの2億2067万人をわずかに上回った。
だが、同社は先の決算発表で、会員数の将来予測を下方修正している。従来は24年までに2億3000万~2億6000万人に増えるとしていたが、これを2億1500万~2億4500万人と、1500万人引き下げた。インドで人気が高いクリケットのプロリーグ「インディアン・プレミアリーグ(IPL)」の配信権が切れることなどが理由だという。
こうした中、同社はメンバーシッププログラムを導入して顧客層の拡大を図る。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ディズニーは新プログラム開発にあたり、アマゾンのPrimeと米アップルの「Apple One」を研究したという。Apple Oneは、クラウドストレージ「iCloud」や動画配信「AppleTV+」、音楽配信「Apple Music」、ゲーム配信「Apple Arcade」などを1つにまとめたサブスク型サービス。月14.95ドル~(日本では1100円~)で提供している。
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