ネットフリックス ロゴ(写真:當舎慎悟/アフロ)

 米国の動画配信は市場競争が激化しており、企業はサブスクリプション(定額課金)の利用者をつなぎとめておくことが困難な状況だと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが米調査会社アンテナのリポートを基に1月31日、報じた。

大型作品で訴求も半年以内に解約

 動画配信サービスの加入者を増やすためには新作ドラマ・映画の配信が必要になる。しかし、多くの人は新作公開時に加入し、数カ月後に解約してサービスから離れていくという。

 米ウォルト・ディズニーのDisney+(ディズニープラス)は、2020年7月にブロードウェイミュージカル作品『ハミルトン』を配信し、加入者を一気に増やした。

 AT&T傘下ワーナーメディア(旧タイムワーナー)のHBO Max(HBOマックス)は20年12月に映画『ワンダーウーマン1984』を配信。米アップルのApple TV+(アップルTVプラス)は20年7月に米人気俳優のトム・ハンクス氏が脚本と主演を務めた映画『グレイハウンド』を配信し、いずれのサービスも加入者数を大幅に増やした。

 だが、これら新作配信開始後の数日間に加入した人のほぼ半数は、その後半年以内に解約したという。

 また、米コムキャスト傘下NBCユニバーサルのPeacock(ピーコック)は、昨夏の東京オリンピック・パラリンピック配信権を獲得し、米国の加入者が急増した。しかし、オリンピック開催前後に加入した人の約半数はその4カ月後に解約した。

 「大規模作品のリリースや大型イベントの開催に合わせて加入する人は、平均的な顧客よりも早くサービスを離れる傾向がある」とアンテナのアナリストは指摘する。ほとんどのサービスは月額サブスクリプションで利用できる。これにより利用者は特定の番組を一気見した後にキャンセルすることが可能。こうした仕組みがサービス提供会社の課題になっていると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

ネットフリックスやアマゾン、ディズニーが先行

 加入者数が多い米国の主な動画配信サービスは以下の通り。米国では1世帯当たり平均3.6社のサービスに加入しているという。