米アップルが米ロサンゼルスで映画やドラマ撮影用の広大なスタジオ用地を探していると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが7月20日に報じた。
巨大撮影スタジオ建設か
アップルはすでに同市などでサウンドステージと呼ばれる映画撮影用の防音スタジオを複数リースしている。新たな拠点はそれらを補完するものになるという。すでに不動産開発業者といくつかの候補地について協議している。新拠点の敷地面積は4万6400平方メートル(東京ドーム約1個分)を超える可能性があると同紙は報じている。
アップルが有料動画配信サービス「Apple TV+」を始めたのは2019年11月。これまで「ザ・モーニングショー」や「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」といった人気番組などを配信してきたが、同社には作品数が少なく、競合の米ネットフリックスや米アマゾン・ドット・コムに比べて事業規模が小さい。
アップルは音楽配信やポッドキャスト(音声番組)で成功を収めており、これらの事業と比較しても動画配信の規模は小さいと指摘されている。
米通信大手AT&Tは21年5月、傘下のメディア事業であるワーナーメディアを分割し、同業大手の米ディスカバリーと経営統合することで合意したと発表した。新会社の名称は「ワーナーブラザース・ディスカバリー」。合併手続きは規制当局の承認などを経て22年半ばに完了する見通しだ。
アマゾンは21年5月、人気スパイ映画「007」シリーズなどで知られる米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を84億5000万ドル(約9300億円)で買収することで合意したと発表。買収に成功すれば、オリジナル番組制作部門「アマゾン・スタジオ」と連携し、エンターテインメント事業を強化する狙いだ。
こうして業界再編が進む中、たとえ巨人アップルであっても会員獲得のためにエンタメ事業を強化する必要があると、投資家は考えている。
エンタメ分野の野望膨らむ
米CNBCによると、ネットフリックスやアマゾンはオリジナル作品やライセンス契約による作品がそれぞれ1000本以上ある。これに対しApple TV+のオリジナル作品は約90本にとどまる。
アマゾンは17年にオリジナル番組制作部門のアマゾン・スタジオの規模を拡大し、その拠点をハリウッド近くの伝統的な映画・テレビ番組制作施設に移した。