eVTOLのメーカーは世界で400社以上あるとも言われ、開発競争はすでに熾烈だ。

 米国や中国の後塵を拝することになったドローンや電気自動車の二の舞にならないよう、日本の官民が一体となって明確なロードマップを描く。そして大阪・関西万博での成功で弾みをつけて「空飛ぶクルマ」による空の移動革命を安全かつ確実に社会実装していくことが大切だ。その意味でも日本国内のフロントランナーであるスカイドライブの役割は極めて大きいと言えるだろう。

空の移動革命には「離着陸場」「官制・通信」なども必要

 空の移動革命には「空飛ぶクルマ」による「機体・運行サービス」に加えて「離着陸場」の整備、「官制・通信」の技術やインフラ整備なども必要になる。大阪ラウンドテーブルでスカイドライブと連携する大林組、関西電力、近鉄グループホールディングス、東京海上日動火災は戦略的に重要な共創パートナーである。

 例えば、関西電力は「空飛ぶクルマ」のバッテリー充電拠点の整備、大林組は離着陸場の建設、近鉄は観光事業における「空飛ぶクルマ」の利活用、東京海上日動火災はエアタクシーサービスに関わる保険の開発を担うという具合である。

(参考)「【特集】2025年大阪・関西万博で実現?人が乗ってテストも!?『空飛ぶクルマ』は今」(読売テレビニュース)

 上記の企業以外でも駐車場やカーシェアサービスを展開するパーク24が2022年5月、欧州で離着陸拠点を開発・運営する英スカイポーツ、兼松、あいおいニッセイ同和損害保険と連携の覚書を交わしたことが報道された。2025年の大阪・関西万博での「空飛ぶクルマ」運行開始を見据えて、パーク24は自社の運営する駐車場の敷地内に「空飛ぶクルマ」の離着陸場を整備するとともに、自社のカーシェアサービス車両を配置し、搭乗前後の乗り継ぎ需要の取り込みを狙っているとされる。

「官制・通信」については、課題はより大きい。「大阪版ロードマップ」(下の図参照)の中にも明確に示されているように、大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」はパイロット搭乗・定期路線運行(いわばプラレールに近い)というオペレーションになる。しかし2030年ごろを境に自動・自律飛行(パイロットレス)がデフォルトとなり、「空飛ぶクルマ」の数自体も飛躍的に増えてオンデマンド運行へ段階的に移行していくことが想定される。そうなるとSF映画で描かれる「無数の空飛ぶクルマが上空を飛び回る社会」の実現に近づくことになる。

空の移動革命社会実装に向けた大阪版ロードマップ(出所:大阪府のウェブサイト
拡大画像表示

 だが、大量の「空飛ぶクルマ」を迅速かつ安全に官制するのは容易ではない。地上を走るクルマとは異なり、「空飛ぶクルマ」は進む方向だけでなく飛行高度も自由に変えられるため、ルートの組み合わせは無限大になる。上空で通信の電波が確実に届くか、飛行の支障になるような気象変動はないか、桁違いの計算が瞬時に必要とされるので、こうなると量子コンピュータ技術の実装や3次元交通官制システムの導入がセットで必要になってくる。