(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役、法政大学大学院客員教授)
スマートフォンの専用アプリでタクシーを呼ぶと、ドライバーの乗っていない自動運転タクシーが現れ、利用者を目的地まで快適に運んでくれる。
2022年1月27日、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下で自動運転技術を開発するクルーズ(注)は、お膝元のサンフランシスコで一般の利用者向けに無人の自動運転タクシーのサービス提供をスタートさせた。
(注)クルーズに対するGMの出資比率は約85%。日本のソフトバンク(ビジョンファンド)とホンダも出資している。ソフトバンク(ビジョンファンド)は2018年に9億ドル、2022年に13.5億ドルの追加出資を行い、19.6%まで出資比率を高める見込み。
無人の自動運転タクシーのベース車両はGMのEV「シボレー・ボルト」で、10台程度の台数でサービスを展開しているようだ。それぞれの車両には「ポピー」(Poppy)、「スカンピ」(Scampi)、「フラメンコ」(Flamenco)、「抹茶」(Matcha)、「クレープ」(Crepe)、「ディスコ」(Disco)、「トスターダ」(Tostada)、「チェダー」(Chaddar)というようなユニークな愛称が付けられている。
期待や想像を超えた感動体験を提供
クルーズがYouTubeにアップロードした応募者の体験動画を見てほしい。サンフランシスコは地形が起伏に富むだけでなく、街のアイコンともなっている路面電車(ケーブルカー)との並走や交差など、交通事情は他の都市よりもはるかに複雑だ。だが、クルーズの無人自動運転タクシーは、事もなげに街中を駆け抜け、利用者を快適に送迎する。YouTubeビデオに記録された複数の利用者の表情やコメントを見る限り、この画期的なサービスが期待や想像をはるかに超えた感動体験を提供していることは間違いないようだ。
また、一般向けに無人の自動運転タクシーを開放する少し前には、GMのメアリー・バーラ(Mary Barra)CEOがクルーズの創始者の一人で暫定CEO・CTOも務めるカイル・フォークト(Kyle Vogt)らと無人の自動運転タクシーを体験試乗している。この時の様子もクルーズによって短く編集されてYouTubeにアップロードされており、メアリー・バーラ自身が専用アプリを使って自動運転タクシーを呼び、ドアロックを解錠してタクシーに乗り込み、自動運転を楽しむ様子が記録されている。