第1回インディ・オートノマス・チャレンジ(IAC)で優勝し、賞金100万ドル(約1億1000万円)を獲得したドイツのミュンヘン工科大学チーム(IACのYouTube動画より)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン 代表取締役、法政大学 大学院 客員教授)

 約2カ月前の今年(2021年)10月11日に「JDIR」に寄稿した「CES 2022」(米国・ラスベガスで開催される電子機器の展示会)の予測記事(「2年ぶりのリアル開催 『CES 2022』の見どころを一挙紹介!」)の中で、注目の「IAC」(インディ・オートノマス・チャレンジ:Indy Autonomous Challenge)について以下のような形で紹介させていただいた。

〈IACは世界11カ国から約30の大学チームが参加して、今年10月23日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(インディ500が行われることで有名。以下IMS)で開催される本物のレーシングカーを改造して超高速での自動運転技術を競うレースイベントだ。CES 2021で、主催団体であるIMSとESN(Energy Systems Network)によって開催の概要がアナウンスされ、最近になってシスコのスポンサードが発表された。

 IACは予選こそ参加チームの単独走行によるタイムトライヤルで順位が決まるが、決勝は「Head to Head」、つまりライバルとの混走による直接対決となる。レギュレーションではIMSのコース20周(50マイル)を25分で走り切ることが求められ、これは平均速度で換算すると時速120マイル(約時速192キロメートル)以上になる。オーバル(楕円形)の高速コースゆえ、最高速度は時速200マイル(時速約320キロメートル)にも達する、自動運転としては異例なまでのハイスピードレースが予想される。レースの結果はもちろんのこと、各チームが自動運転レーシングカーの開発のために試行錯誤を繰り返すプロセスは、ドキュメンタリーとしても興味深いものになるはずだ。〉

 データ時代、ついにレーシングカーも自動運転の時代へ。10月23日に実際に行われた本番のレースでは、冒頭の写真にあるようにドイツのミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)のチームが優勝し、賞金100万ドル(約1億1000万円)を獲得した。

 そしてイベントの余韻も冷めやらない2週間後の11月5日には、CESを主催するCTA(民生技術協会)から、IACで優勝したミュンヘン工科大学を含む精鋭5チームがCES 2022の会期後半2022年1月7日にラスベガス・モーター・スピードウェイに再集結し、「オートノマス・チャレンジ@CES」が開催されることが発表された。

 今回の記事では、10月に行われたIACの結果と、CES 2022で注目されるオートノマス・チャレンジ@CESについてレポートする。