ロシア軍によるウクライナへの侵攻を巡り、西側諸国の多くのテクノロジー企業がロシア事業の一時停止を決めた。こうしたなか、中国企業がこの商機をどう生かすべきか検討していると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが3月7日に報じた。
ロシアは欧州最大のスマホ市場
この1週間、ロシアでの販売停止を表明した企業には、スマホメーカーの米アップルや韓国サムスン電子、パソコンメーカーの米HPや米デル・テクノロジーズ、ソフトウエア大手の米マイクロソフト、スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンなどがある。
一方で、中国のテクノロジー大手は沈黙を守ったまま。ロシアでの事業停止を表明する兆しは見られない。その多くは過去数十年の間、同国と強い絆を築いており、一部のテクノロジー製品はロシアで4割以上のシェアを持つ。
ロシアのテクノロジー市場は規模が小さい。例えばスマホとパソコンの出荷台数は世界全体のわずか2%にとどまる。だが、ロシアは欧州最大のスマホ市場で、同国では西側諸国メーカーと中国メーカーが首位の座を争いし烈な競争を繰り広げている。
アップル、ロシア市場のシェア15%
米調査会社のIDCによると、2021年7~9月期のロシアにおけるスマホメーカー別出荷台数の上位3社はサムスン、中国・小米(シャオミ)、アップルの順。それぞれのシェアは34%、26%、15%だった。
香港の調査会社カウンターポイント・リサーチによると、中国ブランドには小米のほか、realme(リアルミー)やHONOR(オナー)などもあり、これらを合わせた中国製スマホのロシアにおけるシェアは41%。アップルが販売を停止した今、これら中国メーカーはアップルが持っていた約15%のシェアを手に入れる可能性があるという。