ロシアトゥデイ(RT)のサイト イメージ(写真:ZUMA Press/アフロ)

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が激しさを増すなか、米シリコンバレーのテクノロジー大手がロシア事業を停止する動きが広がっている。米CNBCなどが3月6日までに報じた。多くは米政府が科した経済制裁に準ずる形で決定したという。

「ライバル企業に圧力をかける形に」

 口火を切ったのは米アップルだった。同社は2022年3月1日、「私たちはロシアのウクライナ侵攻を深く懸念しており、暴力に苦しむすべての人々の側に立っています」と述べ、ロシアでスマホ「iPhone」を含む全製品の販売を停止した。決済サービス「Apple Pay」のロシアでの利用も制限しているほか、政府系のテレビ局、RT(ロシア・トゥデー)と政府系通信社スプートニクのアプリ配信を、ロシアを除く全世界で停止した。

 英調査会社CCSインサイトのチーフアナリスト、ベン・ウッド氏は、「アップルの動きは、ライバル企業に追随するよう圧力をかける形になった」と指摘する。

 米グーグルの動画共有サービス「YouTube(ユーチューブ)」は当初、ロシア政府系メディアによる広告出稿を禁止するにとどめていたが、3月1日、RTなどのメディアをニュース関連機能から削除し、アプリ配信サービス「Google Play」でRTとスプートニク関連アプリを遮断した。

 CNBCによると、グーグルは3月4日、ロシアですべての広告配信を停止した。この決定の前にロシア通信監督庁がYouTubeに対し、「ロシア国民に誤解を与えることを目的とした大規模広告キャンペーンを展開した」と非難していた。

 グーグルの広報担当者は「異常事態を受けてロシアでグーグル広告を一時停止した。状況は急速に変化しており、今後必要に応じて最新情報を共有していく」と述べた。

マイクロソフト、全製品・サービスの販売停止

 一方、民泊大手の米エアビーアンドビーは、ロシアとベラルーシで全事業を停止する。同社はウクライナから逃れる最大10万人の難民に無料で宿泊施設を提供すると明らかにしていたが、その3日後の3月3日遅く、ブライアン・チェスキーCEO(最高経営責任者)がツイッターへの投稿で事業の停止を明らかにした。

 こうした動きは米西海岸の他のテクノロジー企業にも広がっている。米マイクロソフトのブラッド・スミス社長は3月4日、公式ブログへの投稿を通じ、ロシアで全製品・サービスの新規販売を一時停止すると明らかにした。「私たちはロシアによる不当でいわれのない、不法な侵略を非難する」とし、米政府の制裁決定に従い、あらゆる側面でロシアでの事業を停止すると述べた。

 米テクノロジー大手がこうしたロシア封じを今後どれだけ進めるかが焦点になると、CNBCは報じている。

 ウクライナでデジタル転換相を兼務するフョードロフ副首相は2月25日、アップルのティム・クックCEOに書簡を送り、アプリ配信サービス「App Store」の遮断も含め、ロシアでの事業活動を停止するよう求めた。報道によると、フョードロフ副首相はマイクロソフトの「Xbox」とソニーの「PlayStation」について、ロシア市場でのサポート停止と、ロシアとベラルーシの全アカウントを一時遮断するように要請した。

ロシア当局、フェイスブックを遮断

 米メタ(旧フェイスブック)は2月28日、欧州連合(EU)域内でロシア政府系メディアへのアクセスを制限すると明らかにした。投稿内容のファクトチェックを行い、問題のあるものに注記をつけたほか、収益化を阻止するために政府系メディアによる広告出稿を禁止した。メタは全世界で政府系メディアのコンテンツの表示順位を下げる措置も取った。

 こうしたメタの対応をロシアの通信監督庁は批判。ロイター通信によると通信監督庁は3月4日、ロシアメディアに対する「差別」があったとして、フェイスブックへの接続を遮断した。

 これを受け、メタの国際渉外部門担当社長であるニック・クレッグ氏はツイッターへの投稿で、「何百万人もの一般のロシア人が信頼できる情報から切り離され、家族や友人との日常的なつながりを奪われ、沈黙させられる」と非難。「サービス再開のためにできる限りのことを続け、人々が安全かつ確実に自身を表現し、行動を起こせるようにする」と述べた。

TikTokやネットフリックスもロシア事業停止

 他のテクノロジー企業も相次いでロシア事業の停止を明らかにした。ロイターは3月6日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」がサービスを一時停止すると報じた。CNBCによると、動画配信大手の米ネットフリックスも同国でサービスを停止する。ネットフリックスはロシアでの番組制作なども見合わせた。政府系テレビ局などの放送の配信を義務付ける新たな規制に従わない意向も表明した。

 このほか金融関連企業では、米決済サービス大手ペイパル・ホールディングスや米クレジットカード大手のビザ、マスターカード、アメリカン・エキスプレス(アメックス)などもロシアでの業務を停止すると表明した(CNBCの記事)。

 (参考・関連記事)「アップル、ロシアで「iPhone」含む全商品の販売停止 | JDIR