ニューヨーク南部地区連邦検事のダミアン・ウィリアムズ氏は今回の声明で「企業が、保護対象の個人情報を基に開発した技術を用い、利用者から住居選択の機会を奪えば、それは法に違反することになる」と指摘した。

 メタは声明で、住宅広告に加え、求人やローンの広告についてもシステムを見直すと明らかにした。「米国では住居や雇用、与信における差別が長い歴史を持つ根深い問題となっており、私たちは社会から置き去りにされたコミュニティの機会を広げることに取り組んでいる」とも述べた。

人種や宗教、性別に基づくアルゴリズム

 司法省によると、メタは広告主がターゲットとする個人特性を基にフェイスブックの利用者を見つけ出すコンピューターアルゴリズム(計算手順)を開発した。これは人種や宗教、性別などの個人情報をベースにしているという。

 メタの広告配信システムは、このアルゴリズムを使用して、広告主が希望する利用者層の中から、どの個人・集団に配信するか、配信しないかを自動で決定していた。

 配信対象を自動で絞り込む機能は当初「類似オーディエンス」の名称で知られていたが、後に「特別広告オーディエンス」と呼ばれるようになった。広告主は、フェイスブックが用意する選択項目を使用して対象の利用者層を選ぶ。するとシステムが機械学習アルゴリズムを用いて類似点を持つ利用者を抽出する。

 今回の和解により、メタは2022年12月31日までにこの機能の使用を停止する。同社はその時までに新たな住宅広告配信システムを開発して問題を解決する必要があるという。

 メタのロイ・オースティン副社長兼副法務責任者は、「保護された個人情報を使って人々を差別しているなどと言われないように努力する。より公平な広告配信に向けてさらなる進歩を遂げることができるよう努める」と述べている。

 (参考・関連記事)「旧フェイスブック、成長鈍化と支出増大で株価急落 | JDIR