米南部テキサス州の司法長官は2月14日、米メタ(旧フェイスブック)を提訴したと明らかにした。2010年から21年にかけてSNS「フェイスブック」が導入していた顔認識機能が利用者のプライバシーを侵害し、州法に違反したとしている。
利用者の顔写真をデータ化
ケン・パクストン州司法長官によると、フェイスブックはアプリからアップロードされた写真や動画に含まれる生体認証識別子を、利用者から適切な方法で同意を得ることなく取得・保存してきた。その数は数百万件に上るという。
州法では生体認証識別子を「網膜または虹彩のスキャン、指紋、声紋、または手や顔の形状の記録」と定義している。「フェイスブックは不正に入手した個人情報を悪用し、巨額の利益を生んで企業を成長させた」と非難している。
フェイスブックでは長らく、投稿写真に写っている人を自動で認識し、利用者にタグ付けを提案するといった機能を提供していた。この機能を巡っては15年に中西部イリノイ州で160万人の州住民が原告に参加する集団訴訟が提起され、21年2月にメタが6億5000万ドル(約700億円)を支払うことで和解した経緯がある。
こうしたプライバシー侵害への懸念から、メタは21年11月、同機能の提供を中止すると発表。これに伴い10億人超の「顔認識ひな型」を廃棄すると明らかにした。
メタ「主張にはメリットない」
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、今回のテキサス州による訴訟提起についてメタ側は、「当社に対する主張にはメリットがなく、積極的に弁護する」と反論している。同社はかねて「利用者はこの機能を利用する際に通知を受けており、常に同意の機会が与えられていた」と主張していた。