テクノロジー分野でも雇用を増やしており。全米で人材獲得競争が激化している。業界団体のCompTIAによると、米国では約870万人がテクノロジー関連の仕事に就いている(21年末時点)。これは米全労働人口の5.7%に相当するという。

 こうした中、2年間のコロナ禍を背景に急速に業績を伸ばしてきたテック大手の一部が相次いで新規雇用に慎重なアプローチを取るようになった。

  ウォール・ストリート・ジャーナルはその背景として、「22年に入り複数の要因が重なって状況が一変した」と報じている(22年5月8日付の記事)。

インフレ、金利上昇、ロックダウン

 インフレ率は過去40年間の最高水準で推移しており、トラックドライバーや倉庫作業員の賃金を圧迫し、消費者の購買力を圧迫している。 金利上昇は、ハイテク投資で高リターンを狙う資金の流れを鈍らせ始めている。また、飲食や小売りの実店舗再開により、EC(電子商取引)需要が減少し、ネット通販企業は拡大計画の見直しを余儀なくされている。 中国の「ゼロコロナ」政策に伴うロックダウン(都市封鎖)により、スマホ「iPhone」などの電子機器のサプライチェーン(供給網)に新たな混乱が生じている。

 米求人サイトのジップリクルーターのチーフエコノミストであるジュリア・ポラック氏は、一部企業の採用鈍化について、「経営幹部がリスク回避の動きに出ている」と指摘。また、「多くのテック大手がコロナ禍で急速に業績を伸ばしたが、おそらくスピードが少々速すぎたのかもしれない」と述べている。

 一方、求職者側はこうした状況を危惧している。ビジネス向けSNS(交流サイト)の「LinkedIn(リンクトイン)」では、就職の難しさや採用取り消しを心配する発言が見受けられるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

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