アマゾン フルフィルメントセンター(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが2月3日に発表した2021年10~12月期決算は、売上高が前年同期比9%増の1374億1200万ドル(約15兆8500億円)、純利益は同98%増の143億2300万ドル(約1兆6500億円)で、いずれも四半期ベースで過去最高を更新した。

主力の直営EC減収、営業赤字

 だが、1桁台という売上高の伸び率は17年7~9月期以来の低水準。新型コロナによる「巣ごもり消費」を追い風に増収率が44%となった前年同期に比べると大幅な成長鈍化だ。

 また、1年前からほぼ2倍となった純利益は、21年11月に上場した新興電気自動車(EV)メーカー、米リヴィアン・オートモーティブの株式評価益118億ドルを計上したことによるもの。これを除いた場合は65%の減益となる。

 主力の直営電子商取引(EC)事業の売上高は660億7500万ドルと前年同期比で1%減少した。また本業のもうけを示す営業利益は前年同期比50%減。北米事業の営業損益は2億600万ドルの赤字、北米を除く国際事業は16億2700万ドルの赤字だった。

原因は営業費用の増大 コロナ禍で

 アマゾンでは、コロナ禍における人手不足や物流停滞に対処し、費用が大幅に増加している。21年9月には米国の物流拠点で新たに12万5000人の従業員を採用すると明らかにし、最低時給の平均を約15ドルから18ドル超に引き上げた。21年10月には年末商戦に向けて米国で15万人の季節労働者を雇用すると発表。初任時の平均時給を18ドルとし、勤務時間帯によって3ドル加算。契約時に一時金3000ドル(約34万6000円)を支払った。

 21年10月下旬には、年末の繁忙期に向けて物流体制を強化した。貨物船や航空貨物機などの輸送資源や、物流施設の人員を拡充した。また、自社物流ネットワーク内で入港地を5割増やしたり、海上輸送業者から物流倉庫を追加確保したりしてコンテナ処理能力を2倍にした。

 こうした費用がかさんだ。21年10~12月期の営業費用は前年同期比13%増の1339億5200万ドル(約15兆4500億円)となり、売上高の伸び率を上回った。

クラウドと広告がEC事業の赤字補う

 一方、米CNBCは、「アマゾンは過去4年で最も低成長を報告したものの、投資家は他の部分で安心材料を見つけた」と報じている。

 アマゾンのクラウドサービス事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」と、今回初めて開示した広告事業の業績が素晴らしかったとCNBCは指摘する。

 AWSはコンピューター資源を企業などに貸し出すもので、計算能力のほか、ストレージ、データベース、ネットワークなどの機能も提供している。同事業の21年10~12月期における売上高は前年同期比約40%増の177億8000万ドル(約2兆500億円)だった。その営業利益は同49%増の52億9300万ドル(約6100億円)で、EC事業の赤字を相殺した。

アマゾンの広告事業、ユーチューブ上回る

 そしてアマゾンは今回の決算で初めて広告事業の業績を開示している。その売上高は前年同期比32%増の97億1600万ドル(約1兆1200億円)で、伸び率は米グーグルの広告事業とほぼ同じ。高利益率のクラウドサービスと広告サービスがEC事業の減速を補い、アマゾン全体の営業損益を黒字化するのに寄与したと、アナリストは話している。

 またロイター通信によると、アマゾンの広告事業の売上高は21年通年で311億6000万ドル(約3兆5900億円)に上り、米グーグル傘下の米ユーチューブの21年広告収入288億ドルを上回った。ロイターは独スタティスタのデータを基に、世界の新聞年間広告費は295億ドルだとも報じている。

 一方、アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は主力のEC事業について、「労働力の供給不足とインフレ圧力によって費用が上昇し、オミクロン株感染拡大の影響で問題は今も続いている」と説明。ただ「短期的な問題はあるものの、私たちは引き続き楽観的だ。パンデミックは収束に向かっており、今後のビジネス展開を楽しみにしている」とも述べ、事業回復に自信を示している。

 (参考・関連記事)「アマゾンが未曽有の物流混乱を回避できた理由 | JDIR