政府当局者や大手メディア幹部にも働きかけ
ここ最近、インターネット軍の活動範囲は広範に及んできたとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。例えば、外国政府当局者をターゲットにし、ウクライナに重火器を供給するよう訴えているという。
また、活動に協力してもらおうと影響力のある人をタグ付けしている。これまでに対象となった人物は、ロイター通信のアレッサンドラ・ガローニ編集主幹やウォール・ストリート・ジャーナルのマット・マレー編集局長、ニューヨーク・タイムズのディーン・バケット編集主幹、ロサンゼルス・タイムズのケヴィン・メリダ編集長、USAトゥデーのニコール・キャロル編集主幹など。ロシアで事業を行っている企業の広告出稿を拒否するよう促す狙いがあるという。
フョードロフ副首相も自ら書簡作戦
一方で、フョードロフ副首相も自ら西側諸国のIT(情報技術)企業に働きかけている。これまでに米アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)や米アマゾン・ドット・コムの創業者で会長のジェフ・ベゾス氏などに書簡を送り、ロシア事業の停止を要請してきた。その対象は当初だけでも50社以上に上ったとみられる。
その後、副首相の要請に応じる形でロシアでの販売や事業を停止する動きが広がった。米アップルは22年3月1日、ロシアでスマホ「iPhone」を含む全製品の販売を停止した。米マイクロソフトは22年3月4日、ロシアで全製品・サービスの新規販売を一時停止すると明らかにした。
また、米ソフトウエア大手オラクルは22年3月2日にロシア国内の全事業を停止したと発表。同業の独SAPはロシアでの販売を停止。米IBMや米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、米デル・テクノロジーズも販売を停止すると明らかにした。
消費者向けネットサービス分野では、米グーグルが検索サイトと動画配信サービス「YouTube」の広告を一時停止。モバイルOS「Android」向けのアプリストアでは有料アプリやサブスクリプション(継続課金)の提供をやめた。動画配信大手の米ネットフリックスや民泊大手の米エアビーアンドビーもサービスを停止した。
アマゾンは22年3月8日に、ロシアとベラルーシの顧客向け小売製品の出荷を一時停止。両国におけるクラウドサービスの新規契約や、外部販売業者による出品の受け付けも中止した。
(参考・関連記事)「ロシアからの撤退、多国籍企業600社が表明 | JDIR」