インテル ロゴ(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米半導体大手のインテルは4月5日、ロシアでの全事業活動を停止したと明らかにした。インテルは3月に、ロシアとベラルーシの顧客向け全製品の出荷を停止したと発表していた。今回の措置は3月の決定に続くものだとしている。

ロシアで20年以上続いた半導体研究開発

 同社は声明で、「私たちの思いはこの戦争で影響を受けたすべての人と一緒です。特にウクライナとその周辺諸国の人々、そしてこの地域に家族や友人、愛する人を持つ世界中の人々と同じ思いをしています」と述べた。

 インテルは1200人のロシア人従業員を含むすべての従業員をサポートしていくとしている。また、世界事業の中断を最小限にするため、事業継続対策を講じているとも説明した。米ワシントン・ポストによると、インテルはモスクワ近郊の研究開発施設で20年以上にわたり現地企業と事業提携してきた。技術者チームは世界中で使われる高度な半導体技術を開発してきたという。

アップルが口火、IT大手が続々撤退

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相は西側諸国のIT(情報技術)企業にロシア事業の停止を要請してきた。その対象企業は当初だけでも50社以上に上ったとみられている。

 その後、要請に応じる形でロシアでの販売や事業を停止する動きが広がった。口火を切ったのは米アップルだった。同社は3月1日、ロシアでスマホ「iPhone」を含む全製品の販売を停止した。決済サービス「Apple Pay」のロシアでの利用も制限したほか、政府系のテレビ局、RT(ロシア・トゥデー)と政府系通信社スプートニクのアプリ配信を、ロシアを除く全世界で停止した。

 米マイクロソフト(MS)は3月4日、公式ブログを通じ、ロシアで全製品・サービスの新規販売を一時停止すると明らかにした。

 また、米ソフトウエア大手オラクルは3月2日にロシア国内の全事業を停止したと発表。同業の独SAPはロシアでの販売を停止。米IBMや米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、米デル・テクノロジーズも販売を停止すると明らかにしている。

 ロイターによると、ロシアでは企業も政府機関も西側企業が開発したIT基盤技術に依存しており、IBMやデル、HPEのサーバーが同国市場で高いシェアを占めている。

 米調査会社のIDCによると、ロシアのクラウドサービス市場ではマイクロソフトのシェアが17%で最大。これに米アマゾン・ドット・コムの14%、IBMの10%と続き、ロシア企業ヤンデックスのシェアは3%にとどまる。

グーグル、ネットフリックス、アマゾンなどもサービス・販売停止

 消費者向けネットサービス企業では、米グーグルが検索サイトと動画配信サービス「YouTube」の広告を一時停止。モバイルOS「Android」向けのアプリストアでは有料アプリやサブスクリプション(継続課金)の提供をやめた。

 動画配信大手の米ネットフリックスもロシアでのサービスを停止。ネットフリックスは同国での番組制作なども見合わせた。政府系テレビ局などの放送の配信を義務付ける新たな規制に従わない意向も表明した。民泊大手の米エアビーアンドビーはロシアとベラルーシで全事業を停止している。

 一方、米メタは政府系メディアへのアクセスを制限していたが、これに通信監督庁が反発。ロシア当局は3月初~中旬にSNS(交流サイト)「フェイスブック」と写真共有サービス「インスタグラム」を国内で遮断した。

 アマゾンは3月8日に、ロシアとベラルーシの顧客に対する小売製品の出荷を一時停止したと明らかにした。両国におけるクラウドサービスの新規契約や、外部販売業者による出品の受け付けも中止。動画配信サービスのロシアからのアクセスを一時停止したほか、同社がロシアで直販するビデオゲーム「New World」の注文受付を終了した。

 このほか金融関連企業では、米決済サービス大手ペイパル・ホールディングスや米クレジットカード大手のビザ、マスターカード、アメリカン・エキスプレス(アメックス)などもロシアでの業務停止を表明している。

エール大学のまとめ

 米エール大学はロシアからの撤退を決めた多国籍企業の一覧をウェブサイトで公開している。

 これによると、販売や事業活動の停止を発表した企業は4月7日時点で約600社。一方で、約160社が事業の停止・縮小を躊躇している。また、新規投資・開発は延期したものの、実質的な活動を続けている企業は約100社あるという。

 (参考・関連記事)「ウクライナ副首相、米欧IT企業にロシア事業停止要請 | JDIR